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労務管理
人が集まる工夫を ハロワ求人票、手当と定額残業代
2016年1月14日
人材を募集する際、最も一般的な方法はハローワークだ。ハローワークの求人票には、給与について「a基本給(月額平均)又は時間額」「b定額的に支払われる手当」「cその他の手当等付記事項」の三つの項目があり、求職者は通常、「a+b」の総額を「賃金の目安」として捉えている。しかし、「この記入様式は、残業代が多いトラック業界には合致せず、不利になってしまう」と瀧澤・佐藤事務所(東京都江東区)の瀧澤学行政書士・社労士は指摘し、求人票での適切で効果的な給与の記入を呼びかけている。
「トラック業界では、基本給と諸々の手当・残業代などを含めて給料の総額と考えるケースが多かった。それがハローワークに行くと、給料の内訳を分解されて記入させられる」と瀧澤氏は話す。
例えば、ハローワークで「aの基本給は16万円、bの定額的な手当は無事故手当で1万円、その他は固定残業で支払っている」と言うと、「固定残業代は認めないから書けない」と言われ、「a+b」の17万円と記入する。この場合、求職者が「賃金20万円」で検索すると、この会社は結果に反映されず、検討の対象にもならない。このように、「実際に支給する給料より少ない額を求人票に記入している運送会社は少なくない」と同氏は指摘する。
しかし、「人が集まらないからといって、基本給や手当を実際よりも高く記入してはいけない。未払い残業代の争いになった場合、この求人票を証拠として使われることがあるほか、嘘を書くと口コミで広まり、結果として人が集まらなくなる」とし、適切な記入方法を説明する。
厚労省職業安定局では昨年4月、各都道府県労働局職業安定部長に向けて「求人票における固定残業代等の適切な記入の徹底について」とする文書を発出し、求人票における固定残業代の適切な記入の仕方を説明している。
これによると「b定額的に支払われる手当」欄に固定残業代などを記入する場合は、「cその他の手当等付記事項」欄に、「時間外手当は時間外労働の有無にかかわらず固定残業代として支給し、◯時間を超える時間外労働分は追加で支給」などのように、「固定残業代などが時間外労働の有無にかかわらず固定的に支給されるものであることと、超過分が追加で支給されることを明記すること」という条件を満たしていれば、「適切な記入」であるとしている。
同氏は「募集するドライバーの見込み残業代や、みなし残業代がある程度、何時間か分かっていれば、それを厚労省の説明の通りに表記するとa+b欄に実態に近い給料の額を書くことができる。これなら賃金の検索でも見てもらう可能性が高くなる。なるべく人が集まる求人票にするよう工夫してほしい」と話している。この記事へのコメント
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