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    運送会社の信用問題 体調不良が招く重大事故

    2016年2月25日

     
     
     

     運送会社にとって「信用」は何より代え難い財産とも言える。信用を得るには時間がかかるが、失うときは一瞬だ。しかし、信用を保ち続けることは本当に難しい。運送事業者が気付かないところで、信用を失墜するケースもある。ドライバーの突然の体調不良などもその一つだろう。健康診断や健康管理を徹底していても、これで万全と言えるものはない。今回、ドライバーの体調不良が招いたかもしれない重大事故について調べた。
     平成24年4月、京都・祇園で発生した暴走事故では、7人が死亡し12人が重軽傷を負った。運転していた男性(死亡)の勤務先は藍染めの販売会社である藍香房(京都市下京区)。同社は1月12日に自己破産を申請する準備に入った(帝国データバンク調べ)。
     同社は平成14年1月期には約6億8000万円の売上高があった。祇園での事故によって同社社長は管理責任を問われて書類送検されたが、嫌疑不十分で不起訴となった。しかし、事故によって失った信用は大きく、平成27年1月期の売上高は約2億円にまで落ち込んでいた。


     同事故で京ト協の青年部は、事故現場で交通安全啓発活動を実施するなど、安全対策を進める動きを活発化しており、横断歩道や車止めなどが新設されている。
     また同7日、京王バス小金井営業所(東京都府中市)所属の路線バスが回送運転中に歩道に乗り上げ、フェンス、信号機、ガードレールなどに接触後、アパートに突っ込むという事故を発生させた。同社によると、男性ドライバーは意識喪失の状況に陥っていたという。
     男性ドライバーは49歳で乗務員歴は23年6か月。同社によると、「当日の運行前の点呼では異常はなかった」とし、「年2回の健康診断でも異常は見当たらなかった」という。NHKが報道したドライブレコーダーの映像によると、ドライバーは突然、座席に座ったままの大きくのけぞり仰向けの状態になっており、両手はハンドルから離れているようにも見えるという。
     この事故による救急搬送者は男性ドライバー以外になかったことは不幸中の幸いといえる。ドライブレコーダーにはバスから逃げる通行人の姿も映っており、大事故にもつながりかねない状況だった。
     ドライバーが意識不明となる事故は平成26年6月、大阪・御堂筋でも発生している。男性ドライバーが乗用車で一方通行を逆走するなどしてトラックや乗用車に衝突し、3人に重軽傷を負わせた。男性ドライバーは処分保留で釈放された後、昨年10月、「低血糖状態で正常運転ができないおそれがあると自覚していた」として、自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)で在宅起訴された。
     長野県軽井沢町で15日に発生した14人が死亡したバス事故では、男性ドライバーの健康診断結果がないなどの健康管理だけではなく、ずさんな運行管理も問題となっている。旅行会社(元請け)、バス会社(下請け)というバス業界の構図に過度な価格競争が影響していることは想像に難くない。
     バスの重大事故が、トラック運送業界にも規制強化につながることは2012年に発生した関越道のバス事故で実証済みとも言える。現段階ではどのような規制強化につながるかは定かではないが、より一層の管理体制の強化を強いられることは避けられそうにない。
     現在、全国で実施されている長時間労働問題に対する協議会などでも、抜本的な対策が求められそうだ。

     
     
     
     

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