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物流ニュース
森之宮病院 石橋医師に聞く 男性にも「更年期障害」
2016年6月28日
健康に起因する重大事故が多発しており、経営者にとって従業員の体調管理は重要な責務だ。厚労省はメンタルヘルス不調の従業員の就業継続を推進しており、その重要度は増している。昨年12月にはストレスチェック制度が義務化され、定期的に労働者のストレス状況について検査を行い、職場環境改善につなげる取り組みが進められている。
うつ病は一般的に認知されるようになったが近年、女性だけでなく、男性にも注意が必要として注目されているのが更年期障害だ。女性の場合、閉経期前後に卵巣ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少することで症状が現れるが、男性の場合は、精巣(睾丸)から分泌されるテストステロンというホルモンの低下が原因で症状が現れる。
男性更年期障害はLОH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)とも呼ばれる。平成24年から男性更年期障害の専門外来を開設し、LОH症候群に対するテストステロンによる補充治療を行っている森之宮病院(大阪市城東区)泌尿器科の石橋道男医師によると、「40代から80代の男性の中には、男性ホルモンのテストステロンが低下すると、尿が近い、元気がない、意欲が低下している、眠りが浅い、いらいらする、ふらつく、勃起が低下している、手足が冷える、胃腸の調子がよくない、首筋から肩が凝るなどの症状があらわれ、体調不良と不安が生じる人がいる。さまざまなストレスが引き金になることもある」という。
また、男性更年期障害であらわれる症状は老化現象と認識され、気づかれないことも多い。石橋医師は「睡眠障害、早朝勃起の低下、身体症状の三つに絞ると判断しやすい」と説明する。睡眠障害が続くことで昼間の眠気が強くなり、仕事に支障を来す恐れがある。ドライバーにとって睡眠不足は事故を招きかねないため、早期発見が望まれる。
初診時の検査として、問診と血液検査などが行われる。石橋医師は「診断は困難だが、血中の『遊離(フリー)テストステロン』が11.8pg/mL以下に低下していることを一応の目安としている」という。治療にはテストステロン補充療法として保険診療が可能な注射剤を用いる。治療前には前立腺がんなどのチェックが必要で、採血と触診でがんがないことを確認し、補充療法を開始する。「私の場合、1回125mgの注射剤を2週毎に筋注する。投与後、3、4か月目頃には改善がみられ、1年ほどでほぼ元気になり、約半数の方が2年以内に治療が不必要になっている」と石橋医師は話す。今後は、メンタルヘルス科との連携を図り、うつ病など、重複する症状の改善が課題として、きめ細かな診療を目指している。
女性雇用促進が叫ばれる中、男性が更年期障害について理解を深めることは重要だ。それが男性自身にも起こり得ることだとわかれば、働きやすい職場づくりに生かすことができるのではないだろうか。
◎関連リンク→ 森之宮病院この記事へのコメント
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