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物流ニュース
スマイルシステム 遺品整理業立ち上げ「家族の絆、つなげたい」
2016年6月6日
スマイルシステム(佐藤裕美社長、北海道滝川市)は昨年12月、遺品整理事業「虹の架け橋」を立ち上げた。総務の佐藤勇大氏が統括責任者に就き、全道を対象エリアとして遺品整理のほか、生前整理、ゴミ屋敷清掃、特殊清掃、供養代行などを展開。孤立死・孤独死や家族の死別などの場面に立ち会うが、専門的な遺品整理を行うことで「家族の絆をつなげる架け橋になりたい」との思いを込める。3年で2億円の売上高を目指す。
高齢化会社会の進展に伴い、「遺品整理の必要性が高まる」と判断するとともに、同社としても「運送とは別の柱をつくりたい」と考え、4〜5年前から事業化に向けて検討していた。昨年、佐藤氏が遺品整理士認定協会の「遺品整理士」、事件現場特殊清掃センターの「事件現場特殊清掃士」の二つの民間資格を取得し、体制を整えた。佐藤氏以外にも遺品整理士を取得したスタッフや、複数の女性スタッフを抱える。
佐藤社長は「遺品整理の現場では、遺品に対して何の思いもなくゴミ処分扱いをしたり、遺品の廃棄・売買にあたって一般廃棄物収集運搬や古物商などの資格を保有していない、法的に問題のあるケースが目につく。不法投棄や後から高額請求を行うといった悪質なケースもある」と指摘し、「これでは遺族がさらに悲しく、寂しい気持ちになる。こういった風潮を払拭させたい」と話す。
同社では、一般貨物運送事業のほか、一般廃棄物収集運搬、古物商の資格を保有し、法令を順守して遺品整理を行い、かつ、簡易で明快な料金システムを事前に提示している。佐藤氏は「基本料金には、見積もり、仕分け、梱包、簡易清掃、出張、作業を全て含む。料金も見積もり額を了承してもらった後、追加で請求することは一度もない。見積もりよりも短時間で作業が終わった場合は、差額を返却する」と説明する。
遺族が一度、遺品整理を自分たちでやろうとしたが、大変すぎてあきらめ、専門家に任せるという経緯での依頼がほとんどで、「ゴミ袋が10個、20個となって整理が進まず、この時に作業量の膨大さに気づく」のだという。「遺族の気持ちに寄り添った丁寧なサービス」を心がけ、介護や福祉関係者、官公庁からの紹介、ユーザーの口コミなどにより、滝川市を中心に引き合いが増えるようになった。
佐藤社長は「故人の尊厳を尊重したい。その人の生き方、生き様を認めて、遺族にしっかりと伝えてあげたい。チラシの裏に本音が書き綴ってあったり、手紙や遺言書などが出てくることも多いが、そのような思いを遺族につなぐ架け橋になりたい」としている。
「ニーズはかなりある」と捉え、「遺品整理と運送は基本的に別事業と考えているが、引っ越しに伴う家財の回収やハウスクリーニングなど重なる部分もあり、相乗効果もある」と話している。
遺品整理に関するサービスは今後、市場の拡大が見込まれており、日常的に「モノを整理・仕分けし、運ぶ」作業を行う運送事業との相性は良さそうに見える。
同社では、遺品整理事業について「運送業の延長として、片手間にできる仕事ではない」と説明。佐藤社長は、「人の死に関わる現場で、負の側面が強く、精神的にもきつい仕事。常に手を合わせる気持ちをもっていないとできない。単なる商売と考えていたら難しい」と断言する。
一軒家に住んでいた高齢者の場合なら、明治、大正から昭和、平成まで「思いのこもったモノが半端じゃないほど多く、専門家5人がかりで整理に2〜3日かかる」という。単なる片付けではなく、「分別と仕分け、見積もり、アフターケア、供養など多くのことに気を配る必要がある」とし、 また、孤独死などの特殊清掃は「精神的なコントロールが難しく、特に臭気が強い現場の場合、その場は何ともなかったとしても、ふとした時にフラッシュバックする時もある」。
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