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物流ニュース
東磐運送 菅原良徳専務 「変化に合った経営を」
2016年6月30日
今年で60周年を迎えた東磐運送(菅原徳平社長、岩手県一関市)。同社を中核とする東磐グループの実務を取り仕切るのが菅原良徳専務だ。創業者は同専務の祖父にあたり、昭和6年に、「岩手県で6番目」にフォードの2トン車を導入し、本格的に運送事業に参入したという歴史を持つ。同専務は、「倉庫への取り組みも早く、周囲の抵抗を受けながらも、先見性を持って何事にも挑戦してきた」と代々受け継がれてきた社風を説明する。
「一関は仙台と盛岡・北上の間にあり、青森、秋田方面のハブにもなりうる場所」と立地の優位性を挙げる同専務。「大手が出てこないような、パイの小さいところ」、つまり「ニッチで攻める」ことを戦略としている。「そのためにはアセットへの投資をしっかりと行い、受け皿を作る必要がある。あちこちに作るのではなく、1か所につき5000―7000坪の規模で展開していきたい」。
また、同社では「荷主との直取引」が基本方針。「会社の規模に関わらず、直接取引できるのは地方ならでは」とし、大手との取引を積み重ねる中で「情報やノウハウを身につけ、自社の財産にしてきた」と明かす。
自動車関連をはじめ、電気、石油、窯業、食品など、同社の荷主は多岐にわたる。「どれかが落ち込んでもカバーできるよう、まんべんなく押さえており、内需と外需も意識的に等分となるようにしている」とも。
東日本大震災では人的被害はなかったものの、タンクローリーなどの大型車が多数流されるなど、同社も大きな影響を受けた。この経験を教訓として生かし、BCPにも注力。自家発電機はもちろん、非常時の通信手段として衛星電話も導入している。「通信インフラが崩壊した震災直後は、仙台のNTTドコモ東北支社まで出向き、そこからメールを各地に送って指示を出していた」。
「沿岸部の復興需要へと雇用が向いてしまう」という地域的な特性もあり、「人材が集まらないこと」が目下の悩み。もちろん、ただ手をこまぬいているだけではなく、「定年まで安定した生活が送れるよう、賃金テーブルも見直した」という。「顧客にきちんとしたサービスを提供できる社員の育成が最も重要。これから定年を迎えるベテランのカバーはもちろん、新規の仕事を獲得していくためにも必要」と対策の狙いを話す。
2年後には親会社が100周年を迎えるが、「東磐運送も100年企業を目指す」とし、「物流品質は当然のこととして、変化に合った経営をしていきたい」と展望する。「のんべんだらりとあと40年を歩くのではなく、倉庫を含めた総合物流企業として展開し、いまとは別の東磐運送の姿を見せられれば」と意気込む。「今後も天災や恐慌、政変もあるだろうが、それらのリスクにも耐えられる企業を目指したい。今いる地域で一番となり、信頼される会社にならなくては」と気を引き締めている。
◎関連リンク→ 東磐運送株式会社この記事へのコメント
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