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物流ニュース
地方の販路拡大へ 各社の取り組みは
2016年7月6日
地方の販路拡大に、大手の運送事業者が一役買っている。ヤマト運輸と青森県は独自の輸送ルートを設定して翌日配送の可能地域を大幅に拡大させた。また、三重県はヤマト運輸と手を組み、海外へ販売する県内の業者に対して輸送費の半分を助成する事業を進めた。JR東日本はグループ会社と空きスペースなどを利用した貨物輸送によりコストダウンを図るなど、それぞれが地方の販路拡大に貢献している。販路拡大と物流の関係を調べた。
ヤマト運輸と青森県が進めているのは、「A! Premium」。昨年7月に協定を締結した。この提携で注目されるのは、通常の宅急便の幹線輸送とは別に、新たな幹線輸送を構築したこと。これによって、輸送のスピードアップが可能となり、青森県から翌日午前中に配達できるエリアを7.5%から84.7%に拡大した。
具体的には、東北地方までに限られていた翌日午前中の配達エリアが、本州および四国全域と福岡県まで拡大した。参加事業者も順調に増え、青森県によると「スタート時は32社で目標75社だったものが、現在では88社に拡大。平成28年度の目標は150社」としている。
青森県の三村申吾知事は記者会見で「実物の目標は年1000個だったが、年3500個まで利用が進んだ。今後は職員とヤマト社員2人で西日本の販路開拓に取り組んでいく」とコメントしている。
ヤマト運輸は三重県ともタッグを組み、販路拡大に一役買っている。三重県は県内の業者が沖縄国際物流ハブを活用して輸出した場合、国内の輸送料を助成する事業を実施している。ヤマト運輸を利用した場合に限るが、輸送費の半額が助成される。
三重県によると「平成27年度は3社・7件の利用だった。事業前に調査した結果、使いたいという企業が23社あったので、もっと多くの皆さんに使っていただきたい。今年度も実施するが、いまのところスタートする時期は決まっていない」という。
今年4月にJR東日本のグループ会社3社(ジェイアール東日本物流、ジェイアールバス東北、東北鉄道運輸)が連携し、地産品の物流を担う「地域活性化物流LLP」を設立した。トラックの空きスペースや高速バスのトランク、首都圏の物流拠点を利用することで、首都圏から遠方になるほどコストがかかる物流費の低減を図る。
同会社の設立は、JR東日本が事業展開する地域発見プロジェクト「のもの」事業のステップアップの一環。地産品のマーケットを拡大することで、地方創生へ貢献しようとするもの。
運送事業者は輸送のプロだ。どのようにすれば「短時間でより遠く、安全に運ぶことができるか」を知っている。このように地方の販路拡大に貢献することは、物流の価値を一段も二段も上げることにつながる。
しかし、運送事業者が無理をすれば、そのしわ寄せはドライバーに向かう。安全運行とは真逆のものになりかねない。できる範囲での二人三脚が望ましい。この記事へのコメント
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