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法律守れぬ運送事業者「労組結成になす術なし」
2010年5月31日
運送事業者にとって労働時間は荷積みなどの待機が3分の1を占めているといっても過言ではない。このため、ほとんどの運送事業者の賃金体系は歩合給で済ませるケースが多い。当然、景気が低迷すれば歩合給が減り給与が減少してしまうことから、労働者との間でトラブルが発生しやすいようだ。
大阪市に本社を構える運送事業者は賃金体系をめぐって労働者とトラブルになり、3人のドライバーが労働組合を結成した。このため同社は労組との団体交渉を迫られているが、どのように対処していいのか分からず、現状では対処がない状況だ。同社社長は「3月にドライバーから賃金が減少していることから、残業代を求める要求があった。少しはドライバーの意見を聞き入れるつもりだったが、景気低迷で物量が減少しているため、少し待ってもらうための話をした。しかし聞き入れてもらえず、労組に加入されての話し合いになった」と説明する。
また、「売り上げを考えれば、ドライバーが要望する残業代の支払いは現実的に困難。ただ、法律を盾にする労組と話し合っても残業代は支払えないことから、なす術がない。専門家に相談しているが、当社の賃金体系に大きな問題があるとして、就業規則や賃金体系の見直しを求められているものの、見直しを行えば経営は成り立たない」と厳しい表情で話す。
大阪市内で同じように労組が結成された運送事業者も「団体交渉で未払い賃金に対しての話し合いが行われている。しかし、法律に基づいた事業展開では運送事業者は成り立たない。法律が改正されなければ、現状の運送業界はやっていけない。当たり前のことを当たり前に行って成り立たないのは運送業界だけで、やはり業界別の労働基準法が設けられなければ運送事業を継続できない」と訴える。
すべてが同じ法律で対処することは不可能。運送事業者は荷物が出来るまでの待機時間も拘束時間となっているため、残業が発生しないことはあり得ない。このため、運送業界では労組結成も多くなるようで、業界に適合するような法改正も必要ではないか。(佐藤弘行)
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