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「正直者が馬鹿を見ている」、大阪流入規制に怒り
2010年6月14日
大阪府郊外のある運送会社。自動車NOx・PM法の対策地域外にあるが、大阪府流入車規制の条例に適合させるため一昨年、保有車両すべてを適合車にした。適合車には府が交付するステッカーを貼る必要があるが、同社社長は「ステッカーを貼らないで走行しているトラックをあちこちで見かける」と言い、「正直者が馬鹿を見る条例では困る。府は違反事業者の取り締まりを行っているのか」と怒りをあらわにする。
同社は建築資材を中心に事業展開。ゼネコンからの仕事が大半で、条例施行前にゼネコンから「不適合車は出入りできない」旨を伝えられていた。4?車、大型車を中心に12台保有するが、6台は1台につき250万円かけてNOx・PM低減装置を装着し基準をクリアさせ、残り6台は新車に買い替えた。総額1億円の経費をかけたという。しかし、リーマン・ショック後、仕事は激減。社長は「買い替えと経済不況のダブルパンチで、経営環境は非常に厳しい」と話すが、流入車規制のあいまいな部分にも不満のはけ口を求めている。
府の流入車規制では対策地域を発着地とする運行で、荷物の積み下ろしを行う場合は適合車を使用しなければならないが、通過車両は対象外。「通過」の定義はトイレ休憩や労働基準法で義務付けられる休息も含まれる。ステッカーを貼っていないから直ちに不適合車とは言えず、「制度があいまい。どうにでも解釈できそうな条例だ」と社長は話す。
「取り締まりをやっているのか」という事業者の声に対し、大阪府交通環境課では「3月末までにトラックターミナルや港湾などトラックが発着する拠点を中心に、延べ40か所で検査した。違反車両については運転者、会社に対し指導を行っている」と話しているが、罰則の適用はまだないとのことだ。
ディーゼル車規制は、自治体では首都圏で平成15年10月にスタートし、兵庫県でも同16年から開始。大阪府は昨年1月から始まったが、自治体により排ガス基準、運用は異なる。運送会社社長は「同じ土俵で相撲を取るべきで、正直者が馬鹿を見る条例では困る。排ガス規制は全国一律にすべき」と訴える。(大塚 仁)
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