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荷主が値下げ強行「1年に3度」に我慢の限界
2010年6月18日
これまでのトラック業界では、契約書が存在しないというケースも珍しくなかったが、契約解除などのトラブル防止のため、近年は契約書を交わすケースが増えてきた。千葉県の運送事業者も同業大手との間で契約書を交わし、取引を行ってきた。1年ごとに契約書を交わしていたという同社だが、契約内容が1年間に3度も変更されるという事態に直面している。景気低迷が続き、荷量が減少したことで、荷主が単価引き下げを強行してきたことが原因だが、度重なる変更に同社社長は、「契約書を交わす意味がない」と憤慨している。 同社は同業大手を荷主に、関東一円をエリアに食品輸送を手掛けている。荷主とはこれまで、毎年、契約書を交わして双方が納得する形で取引を進めてきたという。
しかし、納得して取り決めた契約が、今年に入って一方的な変更を余儀なくされている。昨年からすると、3回目の変更になるという。同社社長によると、「荷動きの悪化で、荷主も厳しい状況におかれている」ため、運賃単価の引き下げを要求してきたのだ。同社長は、初めは「仕方がない」と理解を示したが、度重なる変更に、「あまりにも理不尽な変更に我慢も限界だ。撤退も視野に入れ交渉に臨む」と、契約解除の覚悟を決めている。
同社は荷主に対し、輸送効率を上げるため増トン車を準備し、協力をしてきたという。そのため他社と比べ、少し運賃は高めに設定されていた。しかし、窓口にいた担当者が変わり、そうした経緯を知らない担当者になったことで、運賃単価の引き下げを余儀なくされたようだ。
「増トン車を導入するためのコストも負担し、荷主の効率化に貢献したにもかかわらず、一方的な引き下げに憤慨した」という同社長だが、景気低迷の状況を肌で感じていただけに、しぶしぶ納得せざるを得なかったという。
しかし、今年に入ってさらに値下げを強行。同社は毎年交わす契約書に従って取引を行っているため、運賃単価の引き下げは契約違反になるはずだったが、そうはならなかった。契約書の中に、「経済状況などの変化で契約内容を変更できる」との内容が記されていたのだ。そのため、契約途中でも引き下げが容易にできるのだと指摘する。だが、我慢の限界を超えた同社長は、荷主から撤退する覚悟を決め、今後の交渉にあたっていくという。
「せっかく契約書を交わしても、これでは意味がない」と、憤慨する同社長。「せめて契約書の期間中は、その内容を守るのがモラルではないか」とし、「業界の秩序を守り、業界の地位向上に貢献していくはずの大手が平気で下請けを泣かし、やりきれない」とこぼす。(高田直樹)
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