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交付金法案の全文を入手 脆弱な「努力義務」、別条項で担保
2011年7月1日
本紙は6月27日、交付金の法制化を目指す法律案の全文を入手した。今国会への提出を目指し、これまで与党内、政府と与党、また与野党間で調整を重ねてきたもので、同日現在の最終修正案だ。民主党トラック議員連盟の事務局長を務める石井章衆議院議員(北関東ブロック比例区)に法制化作業の進捗状況を取材したところ、「物流ウィークリーなら」と法律案を公開してくれた。交付金の交付を「努力義務」とした点が独り歩きし、「強制力が乏しい」との批判もある中、石井氏は「それを担保する条項を設けている」と強調する。
法案は「一 趣旨」「二 運輸事業振興助成交付金の交付」「三 運輸事業振興助成交付金の使途」「四 政府の措置(修正で『財政上の措置』が消された)」「五 施行期日等」の5項目で構成される。一(趣旨)で、軽油引取税の特設がトラックやバスなど運輸事業に与える影響を考慮して、コスト上昇を抑え、輸送力を確保し「国民生活の利便性向上、地球温暖化対策の推進に寄与する」ためと説明。
二(交付)の1で各地のトラック協会が交付対象になることを示しながら、都道府県に対し、交付金を「交付するよう努めなければならないものとすること」と記した。ここが調整の難航した部分の一つで「『交付するようにしなければならない』としたかったが、議連メンバーその他から反対意見があり、結局こうなった」と石井氏。一時は「努めるものとする」に修正されたが「弱すぎる」の意見多数で、「努めなければならないものとする」に語気を強めたという。
交付が努力義務になったのは総務省の抵抗より、むしろ内閣法制局が「『交付金の性格上これが限界』と判断したため」。地方分権を掲げて政権交代を果たした民主党が、地方交付税について「そこまで介入するのか」という猛烈な内部批判だ。
ただ、二の2で総務大臣に「交付状況の調査」と「国会への報告」を義務付けたこと、3で「総務省令に基づく算定額」を基準に交付するとしたこと、さらに四(措置)の2で「政府は確実な交付を確保するため必要な措置を講じるものとする」。五(施行期日等)の2では「国は必要な措置を講ずるものとする」とそれぞれ規定。「これらの条項が、脆弱な『交付は努力義務とする』を担保している」という。
石井氏らは党内調整を完了。現在、すべての会派一致による衆議院総務委員長提案を目指して野党と調整中だが、「自民党の一部を除き、ほぼ了解を得ている」状況。「自民党のトラック議連の古賀誠会長などは『自民政権時代にやろうと思っても、ここまではできなかった。ありがたい』と言ってくれた」。
「万一、自民党が欠けた場合は20人集めて議員立法」となる見込みだとするが、「必ず通るものは通る」との確信がある。ただ懸念されるのは、政局絡みで国会の混迷が続くことだ。(土居忠幸)
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