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ブログ・川﨑 依邦
一人でも入れる労働組合がやってきた(45)ドライバーの処遇
2012年5月18日
A社長は「経営方針書」を作成し張り切っている。出社してドライバーの顔を見ると大きな声で?ハキハキ?とあいさつをしている。職場の5Sも進んでいる。明るくなっている。
しかし、ここで1人でも入れる労働組合問題が大きな転機を迎える。2人の分会員のうち1人に問題が発生する。再雇用問題の分会長ではなく、いわば分会長にくっついてきたドライバーの問題である。このドライバー(仮にB)は社長が声をかけてもろくに反応しない。「おはよう」と呼びかけても?ブスッ?としている。B君は1か月で小さな物流品質トラブルを3回も繰り返している。納品ミスの繰り返しである。
そこでA社長はB君を呼び出して注意をする。B君はふてくされてA社長の前に姿を現す。「B君、何回同じ納品ミスを繰り返したら気が済むのか。反省文を書きなさい」。ところが、B君は反省文を提出しない。そこでA社長はB君を再度呼び出す。「どうして反省文を書かないのか」。B君いわく「反省文なんて書く必要がないからです。こんな小さなミスでネチネチ注意するのは不当労働行為ですよ」。A社長とB君は平行線である。
ところがある日、ついにというべきか、やっぱりというべきか、B君は大きなミスを犯す。納品先で荷主と口喧嘩をし、荷主から出入り禁止を通告された。「あのドライバーの態度はなっていない。二度と顔も見たくないから寄越さないでくれ。もし寄越すようなら、お宅との取引はやめるよ」。激しい荷主の怒りに遭う。
A社長はB君と膝を詰める。「こんなことになってどうするんだい。うちではB君に別の仕事を回せる余裕はないよ」。B君いわく「それでは辞めろというのですか。組合を通して言って下さい」。実際にA社ではB君に別の仕事を回すことができない。別の仕事がないからである。ドライバーの仕事がない。
A社長は、1人でも入れる労働組合の大物氏と交渉することとなる。解雇をすると、当然の如く労働争議になる恐れがある。組合の立場からすると解雇は絶対に認められない。とはいっても、荷主から出入り禁止を通告されている。ドライバー職とは別の仕事となると、車庫の掃除や洗車の手伝いなどといった雑用しかない。「雑用仕事となると今の給料からすると60%ぐらいにしかならない。それでもいいのですか」。大物氏いわく「我々は法廷闘争は望まない。労働争議も望まない。解決金交渉をしよう」。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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