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ブログ・野口 誠一
第83回:倒産する人・しない人15か条 名誉職に魅力を感ずるか否か
2004年9月11日
「倒産する人・しない人15か条」の第6条は、「名誉職に魅力を感ずるか否か」である。
人には多かれ少なかれ名誉欲というものがあり、名誉職を頭から否定するつもりはないが、経営者に限っては「ほどほど」にとどめておくべきであろう。経営は片手間にできる仕事ではないからである。
だいぶ以前のことだが、仙台でスーパーを経営する社長が夜逃げしてきて、八起会を頼ってきた。その名刺を見て驚いた。表も裏も名誉職名でびっしり埋まっている。学校関係あり、商工関係あり、政治関係ありで、一見して地元の名士であることはわかったが、よくもこれだけ「会長」「理事長」「委員長」を集められたものだと半ばあきれもした。
私は皮肉をこめて「こんなに名誉職が多くては、会社の経営に携わるヒマもなかったんじゃありませんか」と尋ねた。すると彼は「いえいえ、それだけの名誉職があったから、会社がいままでもったんです」と、珍答を返してきた。珍答の意味するところは、「次々に名誉職を引き受けたから地元の名士になれた。名士になれたから信用がついた。その信用があればこそ、知人・友人はもとより、農協や銀行からもふんだんに融資を受けられた。それがなかったら、会社はとっくに潰れていた」という方程式である。
この方程式には、さすがに私もア然とさせられた。信用を逆手にとって借りまくり、あとは夜逃げというのでは、立派に詐欺師である。が、彼には反省の色がなかった。そこでやむなく「債権者はさぞ困っていることでしょう。連鎖倒産や責任問題が発生するかもしれません。みんな、あなたを助けてくれた人たちですよ。早く帰ってきっちりと整理しなさい」と諭したが、彼に聞く耳はなかった。
それ以来、私は相手の名刺を裏返して見ることにしている。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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