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ブログ・野口 誠一
第84回:倒産する人・しない人15か条 危機感の有無
2004年9月14日
「倒産する人・しない人15か条」の第7条は、「危機感の有無」である。
何度か当欄でも紹介したが、八起会はこの1年、「生き残りをかけて」と題したシリーズ勉強会を毎月開催している。これは、倒産未経験の会員に、いかに危機を乗り越え、倒産を回避し、なおかつ発展してきたか、そのプロセスとノウハウを語ってもらいながら、生き残りの方向と方策をさぐる勉強会である。先月、その勉強会でスピーチした経営者が、次のように語ってくれた。
「私は常に危機感から出発しています。その危機感とは、いまがいちばん経営環境のいいときだ、1年後はもっと厳しくなる、3年後はさらに厳しくなる…そういう意識です。ですから、いま利益が上がらなかったら1年後は赤字、3年後は倒産と思っています。だから、いまが稼ぎどき・儲けどきと思い、経営戦略もその1点に絞って工夫しています。いま儲からないものが1年後、3年後に儲かる保証など、どこにもありません」
私は彼の言葉に深い感銘を受けた。目下、わが国はようやく上向き、その余波が製造業から非製造業へ、大企業から中小企業へと波及しつつあるが、彼はそんな流れに期待をかけることもなく、常に「いまがいちばんいい。明日は厳しい。いま利益を上げられなければ明日はない」との危機感経営に徹している。これはなかなかできることではない。大企業の経営者といえども、先のバブル崩壊後、地価も株価もいずれ反転する、それまでの辛抱だ、とばかりに「明日」へ期待をつなぎ、「待ち」の経営にとじこもって問題を先送りし墓穴を掘ったのではなかったか。
「失われた10年」とは、その「待ち」が招いた結果と言っても過言ではあるまい。「危機感の有無」が企業の生き残りを決定的に左右すると言っていい。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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