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ブログ・野口 誠一
第91回:倒産する人・しない人15か条 諦めが早いか否か
2004年10月5日
「倒産する人・しない人15か条」の第14条は、「諦めが早いか否か」である。
何事につけ、諦めが早い人は大成が覚束ない。経営も同じである。よく「事業は経営者が諦めたときに終わる」といわれるが、その通りである。「もうダメかな」と弱気が心をかすめたら、すでに倒産が始まっていると思ったほうがいい。
ただ、諦めと見切りは違う。R・バーノンのプロダクト・サイクル論によれば、どんな製品も導入、伝播、成熟、衰退という過程をたどる。また、その生産も先進国、中進国、途上国と移っていく。したがって、自社製品がすでに衰退期にあるのに、あるいはその生産が途上国へ移りつつあるのに、いくら頑張っても踏ん張っても意味がない。むしろ早目に諦めて転身を図ったほうがいい。それが「見切り千両」である。
先日、メガネケースの製造販売を30年も続けてきた経営者が、その生き残りの秘訣を語ってくれた。やはり、決め手は「時代の先見力」と「見切りのタイミング」と「転身の決断力」にあった。彼はメガネケースがすでにプロダクト・サイクルの最終段階に入りつつあることを先見し、韓国に現地法人をつくり、その後は中国からの輸入に切り換え、製造販売から輸入販売へ転身を図って生き残ってきた。まさに見切りと転身によって倒産を未然に防いできたのである。
そしていまは、低賃金の中国に対抗できる新製品、付加価値の高い新製品、メガネだけでなく、他にも応用できる多用途ケースの開発に取り組んでいる。
経営は難しい。ひと口に「先見力」というが、そのためには膨大な情報量と分析力が要求される。そのうえ、見切りと転身の決断力に加え、実行力も要求される。むろん、そこにやり甲斐もあるのだが。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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