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ブログ・野口 誠一
第95回:失敗しないための戒め15か条 見栄を張るな
2004年10月17日
「失敗しないための戒め15か条」の第1条は、「見栄を張るな」である。
見栄は当て字で、本来は「見え」のことである。つまり、他人の眼を意識して、自分を実力以上に見せようとする体裁や言動を「見栄を張る」という。歌舞伎や芝居などでも、クライマックスになると役者が一瞬動作を止め、大胆なポーズをとってアピールをする。これには「見得」と当て「見得を切る」という。いずれにしろ見得も見栄も「見え」を意識してのことであり、不自然さは拭えない。
見栄の怖いところは、いったん張ったが最後、縮小できないことにある。経営者がこの病気にかかると、倒産するまで治らない。なかには倒産しても治らない人もいる。そんな例は枚挙にいとまない。ある日、会員たちの会話を耳にして驚いたことがある。4、5人集って、倒産時の負債額を語り合っていた。
「あなたは2億でしたか。私は4億ですよ」
「ほう、倍ですね。で、あなたは」
「私は7億です」
「ほほ、それはまたすごい」
といった塩梅で、倒産しても負債額の大きさを競い合っていた。これも立派な見栄である。
業績が上向くにつれて、服装が派手になる、ブランド品で身を固める、次々に車を買い替える、外車を乗り回す、名誉職を一手に引き受ける、高い家賃のところへオフィスを構える、とめどなく交際範囲を広げていく、つれて交際費もかさんでいく、業界紙誌へつき合い広告を出すなど・・・これらはすべて見栄といっていい。が、その先に待つのは倒産なのである。
今年からIT企業2社がプロ野球の球団経営に乗り出すという。当面の赤字は覚悟の上で、将来の黒字化を目指すという。従来の球団経営の実績から言ってきわめて難しい。広告塔ぐらいにはなるだろうが、巨大なカネ食い虫になることは避けられまい。見栄でなければ幸いである。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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