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射界
2019年6月24日号 射界
2019年7月8日
「温故知新」という熟語をよく口にする。その意味は「故(ふる)きを温(あたた)めて新しきを知る」だが、生きとし生けるもの全てが太陽の光を浴びて、つまり今の季節にふさわしく陽光の恩恵を享けて成熟していく有り様を表しており、〝温〟には習熟の意味がこめられていると理解できよう。
▲この言葉の出典は孔子の『論語』だが、「温故知新」に継いで「以て師と為(な)るべし」とある。全体を通じて教えるのは、古い事柄を真摯に習ってきちんと理解すれば、人々の師といわれるような立派な先生となり、知識人と崇められるような人物になれる…という。周囲から尊敬される立派な師になれるかどうかは別として、発想として大切なことである。
▲人間の知恵というか知識は、何もないところから自然発生することは極めて少ない。新しいグッドアイデアだと有頂天になって喜ぶのもいいが、今少し謙虚な気分になって冷静に周囲を観察すると、先人の事績を踏襲していることに気付くだろう。気付けばまだましで、気付かぬまま得意顔になっていないか、視点を変えて反省するのも大切ではないだろうか。
▲周囲はともかく自分自身が手掛ける仕事を、ときには振り返って分析してみるのも大事だ。慣れに任せて手軽にこなしているだけでは次第にフレッシュ感を失っていく。仕事の本質はどこにあるか、最も重要なのは何か…折々に分析して研究するのも大切である。そのために、ひと通りの古い事柄を知る必要があり、可能な限り習熟しセンスを磨くべきだ。
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