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ブログ・船井総研ロジ
第34回:隠れたニーズを提案
2009年12月1日
これまで土壌汚染の市場規模、そして市場動向についてお話しました。今回は今後、勝ち組土壌汚染対策企業になる為の「提案力」についてお話します。
市場規模も大きく、企業意識の変化が徐々に広がる傾向にありつつも、受注企業数の減少、価格競争激化など決して参入すれば成功する業界ではありません。だからこそ顧客メリットを生み出す「提案力」が必要なのです。
ここで重要なことは顧客メリットを生み出すということです。よく陥りがちなこととして表だった顧客ニーズを満たすことに注力するということがあります。しかし、これは違います。ニーズを満たすことが全てメリットになるわけではないからです。
例えば土壌汚染の土地を持った地主がいたとします。彼のニーズは「土壌汚染を浄化すること」です。しかし、お金をかけて土地を綺麗にし、ニーズを満たしたとしても、メリットにはなりません。何故なら、土壌汚染を浄化しても土地の価値は元に戻るだけで価値が上がるわけではないからです。彼のメリットになるには土地の価値を高め、資産価値を向上させることです。つまり裏にある本人でも気付かない、隠れたニーズを満たすことがメリットを生み出すのです。この隠れたニーズを気付かせて、顧客にメリットを与える「提案力」が重要なのです。
今回の場合、土壌汚染を浄化することに注力するのではなく、浄化をさせた後に提案を向けます。例えば緑化をする、建築物があるのであれば環境配慮型にしたり、デザイン性を高めたりと持っている不動産に付加価値をつける提案をします。そうすれば、資産価値は大きく向上し、土壌汚染を浄化した場合以上の価格で売買できることになります。そこで、「まずは土地の価値を元に戻す為に土壌汚染対策をしましょう!」と切り出すのです。これが「提案力」です。
サブプライム問題の影響を受け、不動産関連企業が相次いで倒産している今、不動産への投資や開発は凍結に近い状態となっています。だからこそより、顧客の中へ入り込み顧客メリットを生み出すビジネス展開が必要です。この提案ができ、ビジネス化することができれば新規参入企業であっても必ず勝ち組土壌汚染対策企業になれます。CSR、デザイン、環境性能。顧客メリットを生み出すネタは意外と近くに転がっています。
(株式会社船井総合研究所 小川宏明)
☆船井総研が運営する環境ビジネス情報サイト「eco-webnet.com」
※記事は08年7月の記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。この記事へのコメント
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