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特車申請
11月施行の事業法改正 悪質事業者の排除鮮明に
2019年12月6日
11月から改正貨物自動車運送事業法における「規制の適正化」「事業者が遵守すべき事項の明確化」に関する事項が施行。新規許可の要件が大幅に引き上げられるとともに、既存事業者でも、事業報告書未提出や巡回指導E判定になると、認可申請ができないなど、事業計画変更手続きに高いハードルが新設された。鈴木事務所(横浜市)の行政書士鈴木隆広氏は、「要件の引き上げで新規許可取得が難しくなる一方、事業廃止により許可取り消し処分を逃れることも難しくなり、まさに、悪質事業者を排除するという構図が鮮明になっている」と指摘している。
今年7月の改正では、荷主関連部分の施行で、主に荷主側に主眼が置かれた改正だったが、今回の改正では、規制の適正化や事業者の順守すべき事項の明確化として、主に運送事業者側のルールに主眼が置かれている。新規許可における要件の引き上げでは、資本要件で人件費、燃料費、油脂費、修繕費が、これまでの2か月から6か月に増加。車両費、施設購入・使用料が、これまでの6か月から12か月に増加したほか、任意保険に対物200万円以上の条件が追加された。
また、営業所や車庫、休憩施設が賃貸借契約によるものである場合、これまでは契約期間が「1年」以上を求めていたのに対し、「2年」となる。
鈴木氏は、「役員法令試験の導入などで、新規許可取得が難しくなる中、今回の要件引き上げで、さらに難しくなり、新規参入は大幅に減少していくのではないか」とみている。
さらに、既存事業者に対しても認可申請に対する規制が強化される。これまで行政処分終了から3か月(重大違反は6か月)経てば申請可能だったのが、6か月経過しなければ申請できなくなる。また、巡回指導で指摘を受けた項目について改善報告が完了している場合を除き、申請日前3か月間または申請日以降に巡回指導でE判定以下だった営業所においては、認可申請ができなくなる。
車両の増減車に対しても厳しくなる。3か月以内に3割以上の増車をする場合は、これまでの届け出から認可申請となる。また、5台未満となる減車や、引き続き5台未満となる増車も、原則認可申請となる。
さらに、累積違反点数が12点以上である場合や、申請日前1年内の巡回指導におけるE判定の営業所における増車も届け出ではなく、認可申請が必要となる。鈴木氏は、「行政は法令を順守できていない事業者に対して、厳しく取り締まっていくという姿勢が鮮明に打ち出された内容となっている」と指摘する。
そして、鈴木氏が今回の改正で大きなポイントとして挙げるのが、「事業廃止により許可取り消し処分を逃れることを防ぐ内容となっている」ことだ。
鈴木氏によると、これまで、監査などで国交省から許可の取り消し処分の聴聞の通知を受けた際、まだ許可取り消しとはなっていない段階で、事業廃止届を提出すれば、即時に貨物自動車運送事業者ではなくなるので、許可取り消し処分は受けないで済んでいた。その上で、事業を廃止した後、車両を別の会社へ移行し、その会社で増車申請すれば、事業用自動車として問題なく使用できていた。
実質、取り消し処分を受けずに事業を継続できるため、処分逃れとして、これまでも問題を指摘する声があったが今回、ここにメスが入った。鈴木氏によると、今回の改正では、監査で取り消し処分となることが分かったとして、監査日以降に事業廃止届を提出しても、現行の事業廃止届は事後届だが、11月以降は30日前事前届となるため、これまでのように即時に事業廃止とはならない。「監査後の許可取り消し処分逃れは、ほとんど不可能になる」と同氏。さらに、取り消し処分となれば欠格事由に該当するため、当該事業者の役員は、5年間新規に運送会社を立ち上げることができない上、他の運送会社の役員にも就くことはできなくなる。
車両を引き受ける側にも規制が掛かる。事業廃止を行った会社から車両を移行し、増車申請を掛けても、保有車両の3割以上の増車となる場合、簡単に増車が認められなくなる。3割以上の増車は届け出ではなく認可申請になるためだ。
今回の改正について同氏は、「新規許可に高いハードルを設けることで新規参入に歯止めをかける一方、法令を順守しない事業者を厳しく取り締まり、業界の健全化を推し進める改正」とした上で、「逃げ得を許さないという行政の姿勢が鮮明に打ち出された内容」と指摘している。
◎関連リンク→ 行政書士鈴木事務所
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