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ブログ・野口 誠一
第318回:新聞記事から拾った希望
2011年9月8日
私の「新聞を隅から隅まで読む」日課は、しばらく続いた。そんなある日、自殺に関する興味深い記事に出会った。精神科医だったか、心理学者だったかは忘れたが、おおむね次のような見解が掲載されてあった。
──人はなぜ自殺するのだろうか。自分の想い描いた人生のイメージと、現実とのギャップに耐えきれなくなるからである。「現実はいかんともなしがたい」と思い知ったとき、その現実を「死」によって否定しようとするのが自殺である。
したがって、自殺を防ぐには、イメージのほうを変えていくしかない。しかし、その人間が「孤独」の垣根を張りめぐらしている限り、そのイメージもまた変わりようがない。なぜなら、孤独は彼に「苦しんでいるのはお前だけだよ。死ねば楽になれるよ」と、甘くささやくからである。
しかし、もし彼の孤独に風穴をあけ、その耳に「現実とのギャップに苦しんでいるのは、あなただけじゃありませんよ」と吹き込んでやれば、彼のイメージが変わる可能性は大いにある。少なくとも「絶対的」苦悩は「相対的」苦悩へと地すべりを起こす。要するに彼に必要なのは人間的交わりであり、話し相手なのである──
私はこの記事にハタと膝を打った。多少の程度の差こそあれ、倒産者にとっては毎日が地獄である。その絶望感や無力感、孤独感などは、おそらく経験した者でなければわからない。文字通り「死ぬより辛い」日々なのである。
しかし、この見解のように話し相手があれば、孤独に風穴があき、それだけ自殺から遠のくというのなら、倒産者が集まって「語り合う会」のようなものをつくればいいではないか。
思いがここに至ったとき、私はペンを走らせていた。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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