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ブログ・野口 誠一
第336回:どんな時もなくならない倒産
2012年1月16日
私は八起会の発展を望んだことは一度もない。というより、八起会は発展すべきものではないのである。八起会の発展は、この世から倒産がなくならないことを意味するからである。
私は5年ごとに創立周年記念イベントを開催してきたが、それはいつか消滅すべき八起会の足元を確かめるための、いわば墓標のようなものだった。そして一昨年、30周年記念を終えた。つまり、この三十余年間、倒産はいっこうになくならなかったのである。
実際、好不況にかかわらず、円高、バブル、デフレ、貸し渋りに貸しはがし、リーマン・ショックやギリシア危機にかかわらず、「倒産110番」が鳴らない日はなかった。
しかし、私たちのボランティア活動がだんだん世に、人に知られるようになり、マスコミの取材やテレビ出演が多くなるにつれ、さまざまな人や団体から雑音が入るようになった。もう少し大きくしてはどうか、手を広げてはどうか、宣伝してはどうか、といった類である。なかには「支部をつくらせてもらいたい」という要望も少なからずあった。が、私はいっさい耳をかさなかった。
八起会はビジネスではない。あくまでも人助けでありボランティアである。その原点を崩すわけにはいかない。八起会の事務所は昭和59年、東上野に小さな一室を借りて以来、ずっとそのままである。かなり古ぼけてきたが、倒産駆込寺は雨漏りもせず、トイレと「倒産110番」が一本あればいい。それは今後も変わらない。
八起会は創立以来、規模的発展はなかったが、質的には大いに発展してきた。「自殺防止の会」として発足したものが「再起の会」へ、さらには「倒産防止の会」へと活動を広げ、いまは「幸せさがしの会」にまで発展している。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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