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ブログ・青木 正一
第208回:仕込みの時間−2
2010年1月15日
何を仕込むのか。景気が良くなり出した時、またはその前にでも、市場に打って出ることのできる玉(商品や強みとなる財)づくりであり、そのための「仕込み」である。この時期、どのような仕込みをしていたかで次の展開が大きく違ってくる。
比較的多くの物流会社が考え、取り組んでいることの一つに「社員教育」がある。忙しい時期には同日一斉に社員を集め、話し合いや研修などできる時間がなかったが、今では有り余るほどその時間がある。
また、本社スタッフや上級管理職はしばしば時間を作ることができ、外部セミナーなどにも参加できるが、その話を聞かなければならない、または聞かせたい肝心の現場管理職らが、好景気の時には時間を作ることができなかった。このようなことから、社員研修の多くは現場スタッフに重きが置かれている。
A社は土曜日を活用し、フォークリフト研修を実施。これまでは一部のスタッフに年1回できるのがやっとだったが、今では参加対象者を決定し、エリアごとに開催され、欠席者が出ないようにしている。当日不参加があっても翌月には他のエリアで開かれるので、研修を受けさせることができる。
またB社は現場リーダーにロケーションの作り方を教育していた。いつもは教えることができるほどの時間の余裕もなかったし、自分自身も一作業員であった。また、教えられる方も、どんどん出荷指示がかかるなかで、作業を優先するため教わるどころではなかった。今では適度にかかる出荷指示と、その伝票を手に「なぜこうなるのか」までを伝えられているという。
また、C社はセンター長候補に対する研修を行っているが、これまでは外部講師に頼っていた。しかし、今では簡単ながらテキストを作成する時間もあり、準備を整え、社内講師を立てることができている。
さらに、D社は「荷主の生の意見を聞かせたい」と荷主の物流次長を自社に招き、全社員の前で荷主の評価、要望を聞くことができた。営業から間接的に聞いていた内容だったが、そのインパクトは絶大なものであった。この記事へのコメント
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筆者紹介
青木 正一
株式会社日本ロジファクトリー
1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。
主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。 -
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