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ブログ・青木 正一
第210回:仕込みの時間-4
2010年1月29日
この時期にしかできない「仕込み」の一つに、体制や組織のあり方の見直しといった構造改革がある。コストダウンに取り組み、低燃費走行の定着や事故率低下などが大きな財産となった会社も多いだろう。
ほかには、組織構造や年齢構造的な改革がある。組織構造改革とは成長期、拡大期、安定期で、肥大化していった「名ばかりの管理職」をいくつかのポスト(役職)に集約することである。
何かを申請するにもポストの数だけハンコが要るし、時間もかかる。また、当事者である管理職も大して中身を見たわけでもないが、無難にハンコを押すといった具合で、パソコンを一台購入するために何か月も稟議がかかるようでは、現場のやる気を失せてしまう。このような「名ばかりの管理職」による「名ばかりの組織」をリセットするには、絶好のタイミングである。
また年齢構造改革は端的に言えば「若返り」である。歴史ある会社や創業社長に番頭として仕えてきた重役達は、今もなお、その役割を担っているのであろうか。体力はともかく気力・知力もあり、会社に対して、または社長に対して的確で重要なアドバイス・指導を行っているのであろうか。
もし、このような役割を果たさず、高額な役員賞与を得て人件費を押し上げているなら降板してもらうべきであり、この時期に経営陣の若返り、刷新を図ることが得策である。残ってほしい人材は、顧問として改めて迎え入れるという方法もある。
今回の不況は「百年に一度」と言われるぐらいであるから、「過去の経験が生かせる」という重役は、まだこの世に生まれていない訳であり、人件費を圧迫し、若手が抜擢されるポストが空いていないようでは、重役の存在に疑問が残る。
そのほか、この時期に構造改革を行うべきものには、過去に定められたルールや仕事の流れ、業務フローの見直しなども挙げられ、これらは不況期の大切な「仕込み」と言える。この記事へのコメント
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筆者紹介
青木 正一
株式会社日本ロジファクトリー
1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。
主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。 -
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