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ブログ・青木 正一
第211回:過去の延長線上に未来はない-1
2010年2月5日
家業を引き継いだ2代目、3代目の物流経営者も多いことと思う。これからの経営を考えていく中で、先代から教えられた帝王学や教訓は生きてくるのか。私はNOだと思っている。
確かに、すべてがNOとは言わないが、これからは先代経営者も経験をしたことがない産業構造、消費動向、価値観などの急速な変化が訪れ、皆さんなりの強い経営哲学、経営方針を確立していかなければならない。
先代経営者の時代は、日本が戦後の高度成長を遂げ、右肩上がりで経済が成長し、それに伴って売り上げ、業績も上げていくことができた。また、ベビーブームで人口が増え、団塊の世代が日本経済を支えた。
今は全く反対の環境にあるといえる。その中で、先代の働きぶりは大きな財産としながらも、これからの経営をゼロベースで考え、どのような経営を行っていくのか自問自答し、実践していかなければならない。
たとえば、事業の対象とするエリアについて。他のエリアにも事業所を出すのか、または縮小して高密度なエリア対応で利益を出すのか。あるいは国内ではなく、韓国や中国、ロシアを中心としたグローバル戦略を採ることも一つである。
実は、不況時に重要な経営活動がある。それは「商品・サービス開発」と採用・教育などによる「人材育成・強化」。この二つは「事業の対象エリアの見直し」に比べれば、ほぼ現状の体制で動くことが可能で、すぐに取りかかることもできる。
「商品・サービス開発」について言えば、リサイクル・エコ社会に伴う回収物流やリサイクルのための解体(許可の伴わない)、クリーニング、梱包業務など、時代の変化に伴った物流サービスが挙げられる。これらのサービスを産み出せば、そこにまた重要な展開がある。
新しい物流サービスによって新しい荷主との関係ができ、良好な関係が作れれば、既存の物流サービスが提案できる。時代を見据えた身近なサービスを考えてはいかがだろうか。この記事へのコメント
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筆者紹介
青木 正一
株式会社日本ロジファクトリー
1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。
主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。 -
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