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ブログ・青木 正一
第213回:過去の延長線上に未来はない-3
2010年2月19日
ここでは経営者の考え方について触れていきたいと思う。今後の戦いにおいて最も大敵となっているのが、経営者たちの考え方の元になっている既成概念、固定観念である。
たとえば、「運送業は走るのが仕事」に対して「走らない物流会社を目指す」という考えのもと、センター運営・倉庫内の流通加工を主力としている会社。
「運送業が『主』である会社」に対して「運送業が『副』である会社」として45人のドライバーのうち10人が電気工事免許を持ち、家電設置が「主」、その商材を運ぶ運送は「副」と考えている会社。「人が足りないという現場」に対して「そのような現場こそ人が余っている」と、少数で対応可能な現場に改善してしまった会社。
これらの会社の事例を見てみると、共通しているのは『逆転の発想』であり、現状をまず疑って見るところである。
これからの経営者は、過去は過去として、一度、ゼロから白紙ベースで物事や課題、問題点を直視し、既成概念や固定観念を持たないことが求められる。
しかし、簡単に考え方を切り替えることはできない。そこで「反対の仮説を立ててみる」、いわゆる逆転の発想を積極的に意識することで、少しずつでも考え方を変えていく。もう1つの方法として、自分の周辺に物流業界をあまり知らない「素人」を置くことで、別の視点や他業界などの考えを取り入れやすい環境にするのも手である。
先代の武勇伝や皆さんの成功体験は、リーマン・ショック時に残念ながら賞味期限切れになってしまった。ある著名な経営者は「山があったところに海ができている。海があったところに山ができているほど世の中が様変わりする」と経営雑誌のインタビューに答えている。
このような時は物流業界とは別の仕事、業界、分野に従事する人達と話せる場を作り、頭の中をリセットさせることで、これからの経営のヒントが見つかるかもしれない。この記事へのコメント
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筆者紹介
青木 正一
株式会社日本ロジファクトリー
1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。
主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。 -
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