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ブログ・馬場 栄
第3回:有期契約での採用方法
2013年6月20日
労使のトラブルが発生した場合、金銭を失うことも大きいのですが、それ以上に経営者自身の時間を奪われることが一番大きいのです。しかし、この事実を理解する経営者は稀有です。トラブルを未然に防ぐことが、会社経営・運営上には必要不可欠なので、今回は採用時のトラブル回避法をお話しします。
前回は正社員を採用し、試用期間を設定するのであれば、6か月以上にすることをお勧めしました。しかし、ここ最近の労使間のトラブル見ている限り、採用は正社員としてではなく、契約社員として採用することを当社は提案しています。
契約社員とは、文字通り契約期間を定めて雇うことを約した社員です。個人の能力が高いか低いかに関係なく、原則、期間満了で雇用関係が終了します。ここで大事なのは、契約社員だからこそ、労働契約書で契約期間を定め、労使の署名を取り、契約書を労使双方で1部ずつ取り交わすことです。さらに、契約期間満了後は再雇用するかどうかも、大事なポイントです。
この契約書作成で一番やってはいけないことは、契約書に「契約満了後は自動更新する」と記載し、1回契約書を取り交わしたら、一切更新の契約書を取り交わさないことです。このようであれば、余程の理由がない限り期間満了で雇用契約を終了することが困難になります。「更新しない」と記載し、例外で更新するほうが賢明でしょう。
もう一つ大事なのは、採用する際の募集広告です。正社員募集とうたって実際は契約社員での採用では、トラブルの原因になります。募集広告は正社員・契約社員と同時に募集しましょう。そこで、面接に来られた方が優秀であれば正社員での採用を検討し、会社としていったん様子をみたい人であれば契約社員での採用を申し出て、本人の了解を取り付ければ何ら問題ありません。
今後、ますます労使関係が難しくなることが想定されますので、原則、契約社員で採用し、例外として正社員採用を検討することをお勧めします。
(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄) -
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筆者紹介
馬場 栄
保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士
年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。 -
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