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ブログ・馬場 栄
第19回:休憩時間の適正管理
2014年1月30日
運輸業者さんの日報を見させて頂くと、休憩時間に1時間と記載されていることが多々あります。早朝から出発して拘束時間は10時間を超えているのに、休憩時間は1時間しかなかったのでしょうか?
詳しくお話しを聞くと、実際には朝食の時間や夕方にお茶を飲む時間などがあるようです。これはドライバー本人が長時間働くため、適切に取っている休憩時間であり、健康管理面から言えば必要なことと私は考えます。問題は、必要に応じた休憩時間を、きちんと管理できていないが故に帳簿上の労働時間が長くなっていることです。
労働時間とは、始業から終業までの拘束時間から休憩時間を差し引いたものをいいます。そして休憩時間とは、「労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間」という解釈が過去に出されています。荷待ちの時間など、本人が完全に自由に使えるとは言えない時間は「手待ち時間」と言い、休憩時間にはなりません。先ほど挙げた例でいうと、朝食やお茶の時間は、休憩時間としてカウントできるでしょう。各30分だったとすれば、1日に1時間労働時間を縮めることが可能となり、月20時間程度の短縮です。
ご存知の通り、長時間労働は残業代高騰と健康管理の二つの大きな問題を含んでいます。きちんと休憩時間を管理していれば、残業代で一人につき20時間程度のコストダウンとなり、また仮にドライバーが傷病を患った場合、労災認定のリスクがそれだけ軽減されます。
あとは、どのように休憩時間を管理するかです。業務の特性上、これが大きな壁となっていたことでしょう。これについては、どの勤怠管理方法も「休憩を取った時間」を申告してもらう管理方法を採用しているから、正確なデータが集まらないのではないでしょうか。発想を変えて、あらかじめ基準となる休憩時間を設定し、そのうえで「休憩を取らなかった時間」があれば申告してもらう管理方法を採用すれば、正確な時間管理が可能となるはずです。
(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄) -
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筆者紹介
馬場 栄
保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士
年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。 -
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