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ブログ・馬場 栄
第36回:運送業における時給単位
2014年9月25日
給与の支払い方は、各会社それぞれの方法があり、特徴が反映されています。年俸制、月給制など様々ありますが、日本では最終的に社員の時給がいくらなのかを重要視しなければなりません。時給単価というのは残業代の対策を図り、最低賃金法を順守するうえで正確に計算する必要があります。しかし、この計算方法においては事実、多くの会社で間違いが見受けられますので注意が必要です。
時給単価を計算する際に用いる計算式は、まず日給制である場合、分子が日給金額、分母が1日の所定労働時間で算出できます。次に月給である場合、分子が月給金額、分母が「月平均所定労働時間」となります。この「月平均所定労働時間」はどのように決定するのか? 前述した単価計算の間違いは、実はほとんどのケースで、これが原因となっています。
月平均所定労働時間を求めるには、まず会社の年間総労働日数が何日なのか確定します。例えば、1日8時間労働のA運送という会社では週休2日制、夏季3日、年末年始5日なので、年間休日は112日です。したがって年間365日から休日112日を差し引くと、年間労働日数253日が確定します。そして253日に8時間を掛けると、A運送は労働者との間で、年間2024時間労働してもらう契約を結んでいることになります。これを12か月で割ると月平均所定労働時間は168時間と算出することができます。
ここから少し応用に入ります。A運送の給与は月によって支払われる基本給8万円、このほかに1日出社すると5000円の「運行手当」があるとします。このように月給と日給が混合している場合、時給算出はどのように行うでしょうか? 正解は、基本給8万円÷168時間と日給5000円÷8時間の合計1101円が、この方の時給金額となります。
時給単価は運賃を決める際にも重要な要素となります。くれぐれも誤った方法で把握しないようお気を付け下さい。
(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄) -
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筆者紹介
馬場 栄
保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士
年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。 -
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