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ブログ・馬場 栄
第37回:パワハラの認定について
2014年10月9日
ここ数年、急激に使われる頻度が高くなった「パワハラ」について、皆さんはどれほどの認識があるでしょうか。
まずパワハラとは、正式には「パワーハラスメント」と言い、職場で、職務権限などの力を利用して行う嫌がらせやいじめなどを指します。問題としては、どこまでが教育・指導で、どこからが嫌がらせやいじめなのか?という点ではないでしょうか。今年初めに厚生労働省が定義を示しているのですが、非常に曖昧です。例えば、仕事を過剰に与え過ぎるのはパワハラとして何となく理解できるのですが、逆に仕事が少な過ぎてもパワハラとなるそうです。
このように曖昧さを残すパワハラですが、結論を申し上げると、会社側はあまり過敏になる必要はないでしょう。もちろん案件ごとに精査する必要はありますが、暴力、悪意のある発言、何度も何度もしつこくといったようなことが無ければ、そう簡単にパワハラは認定されません。指導の際に多少声を荒げてしまった、成績不振に対して説明を求めたなどの全てが認定されてしまっては、日本の会社は立ち行かなくなるからです。
また、パワハラの防止を規定している就業規則をよく見かけますが、私は規定を設けるべきでないと考えます。
そもそも法律的な話をすると、セクハラは男女雇用機会均等法により規制されており、就業規則への規定が義務化されています。しかし、パワハラについては現在のところまだ規制する法律はなく、就業規則への規定も義務化されていないのです。任意であるにも関わらず、厳格に規定するということは、独自の「解釈」を生む恐れがあり、この「解釈」を巡って無用なトラブルを引き起こす懸念があるためです。
そうは言っても何もしない方が良いということではありません。教育・指導の行き過ぎが、パワハラとしてトラブルを招く可能性があるということは、社内全体で共有しておくべき事項ではないでしょうか。
(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄) -
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筆者紹介
馬場 栄
保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士
年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。 -
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