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ブログ・船井総研ロジ
第20回:CSA(Community Supported Agriculture)とLocal Harvest
2009年8月18日
欧米の農業で急速に広がりつつある思想の中で、コミュニテサポートアグリカルチャー、またはローカルハーベストというものがあります。これは、これまでの欧米社会で見られたような「巨大ビジネス化した農業」と大手の流通業が生み出すような「世界中から食料をかいあさり調達するシステム」に対して警鐘をならすもので、この状況は地球環境への負荷が大きく、持続可能な農業・食品供給を脅かすものという考え方です。
近年の地球温暖化など環境保全に対する意識の高まりと同時に浸透しているのです。実際にアメリカでの試算によると、農産物が生産地から食卓に並ぶまでの移動距離は、平均でも2000kmを超えると言われています。この輸送こそ無駄なコストと環境負荷を生んでいる。農業と食べ物をその地域に取り戻すことで、生産者の手取りを上げ、地域経済を活性化させようというのです。ある意味、日本における「地産地消」運動と似ているところがあるかもしれません。
そしてこの思想の中で重要な位置にあるのが「ファーマーズマーケット」という業態です。
「ファーマーズマーケット」とは日本でも昔からある農産物直売所の事で、農家が自ら
育てた野菜や果物を直接店に持ち込んで、自分で値付けをして店頭にならべる。売れた金額分の手数料を店に払い、売れ残りは自分で回収するという極めてシンプルな販売形態です。日本では「道の駅」などの施設を中心に展開されていることが多いのですが、欧米では繁華街にテントを張った簡易施設で運営されているようです。周辺の農村から採れた農産物をそのまま、消費することで、消費者にとっては安く購入ができるし、生産者にとっては、青果市場を介して食品スーパーなどに出荷するよりも、約2倍の利益を取ることができるのです。
私は一度、米国のあるファーマーズマーケットの運営委員会に出席したことがありますが、そこでのメンバーは、農家や消費者のみでなく、環境NPO団体や行政のメンバー、地元の経営者などが名を連ねている事に驚きました。つまりファーマーズマーケットの存在そのものがこれからの地域経済のあり方に大きく関与しているのです。
逆に日本におけるファーマーズマーケットは、まだその域にはありません。運営しているのは、殆どの場合が地元の農協です。消費者も地域経済という広い視点で捉えている事は少なく、単に食品スーパーで野菜を買うよりも安いからという理由で店に来ているようです。
日本では今、農業における大改革が進められています。効率の悪い小規模の農家にはこれまで通りに補助金を支払わないと国は主張しているのです。もともと狭い国土の中、小さな田畑を耕して生活してきたのが日本の農家です。この国の主張で多くの農家は補助金の交付対象外となるかもしれません。そしてその次にそれぞれの農家は自らの生き残り策を模索するでしょう。小さな農家は生き残る為にJAを離れ、このファーマーズマーケットという形態に近づいてゆくかもしれません。そして、その時に真の日本版のCSAという発想が芽吹くかもしれません。
(株式会社船井総合研究所 環境ビジネスコンサルティンググループ 楠元 武久)
☆船井総研が運営する環境ビジネス情報サイト「eco-webnet.com」
※記事は08年7月の記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)この記事へのコメント
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筆者紹介
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本コーナーでは、船井総研ロジ株式会社による リレー連載を掲載します。
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