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ブログ・船井総研ロジ
第54回:必見!資産除去債務計上とその課題
2010年5月4日
【環境リスク対策から資産価値向上】の情報提供サイト「環境リスク.com」が無事にオープンしました。
このホームページオープンの背景として、上場企業対象で2011年3月期の決算から義務付けられる「資産除去債務」についてお伝えしましたが、その概要と課題についてお伝えします。
資産除去債務は「有形固定資産に有害物質が含まれており、その対策・除去などが法令に定められている場合に、その費用を貸借対照表の資産と負債に計上すること。また、耐用年数にわたり、損益計算書の減価償却費として計上すること」と定義されています。
もう少し具体的に言うと「建物を解体する際や土地を改変する際などで法令上生じる義務に係る費用 」「契約条件などにより、土地の売却の予定がある場合の土壌汚染の調査・浄化費用や現状回復義務に基づき実施する解体にかかる費用」のことです。
資産除去債務の具体的な算定方法は、「それが発生した時に、有形固定資産の除去に要する割引前の将来キャッシュフローを見積もり、割り引き後の金額(割引価格)で算定する(会計基準6項)」とされています。
このように貸借対照表や損益計算書に直接反映されることから、企業評価への影響は大きいと考えられています。
しかし、この規定には主に以下3点の課題があります。
課題① 将来キャッシュフローを計算する際の見積方法の規定が曖昧である
課題② 資産除去債務を計上しなかった場合の罰則規定がない
課題③ 資産除去債務を計上した場合、妥当な計上額かを判断する第三者認証機関がない
特に①については早急に明確にしておくべきです。例えば、アスベストの処分までには「調査・分析・除去・収集運搬・(溶融)・処分(リサイクル)」という過程がありますが、それぞれサービスを担う企業が異なり、その見積額は驚くほど異なります。この課題解決のためには、「資産除去債務の見積企業の認定制度」などが考えられます。
課題の②③についても、対応するべき課題であり、弊社環境リスクマネジメントチームでは、上記のような課題を解決する形で「資産除去債務に関わる新しいサービス」を展開する予定です。その詳細は次回お伝えします。
(株式会社船井総合研究所・黒川智玄)
☆船井総研が運営する環境ビジネス情報サイト「eco-webnet.com」
※記事は09年04月の記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。この記事へのコメント
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