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ブログ・花房 陵
歳末現場を乗りこえて
2007年12月4日
●トラック協会の全面広告
燃料高騰、自動車関連税、あれもこれもがトラック運送業界を押し潰している、と意見広告が
ありました。行政への働きかけが功を奏すれば幸い、庶民が実情を知って哀れみや応援の
気持ちを持ってくれれば大成功。
でも厳しいのはお宅だけじゃないでしょ、という声が聞こえてきます。自己責任で選んだ業界、
企業努力なんて当たり前です。不当なものなら広告ではなく、提訴やその他の手段もある。
何より一部の声か、全部の声か、割合や事実はどうなんだ、という疑問にも答えてゆかねば
なりません。
製造業やその他の産業は、顧客を選べません。扱う商品やサービスも代えられません。
マーケットが変質して、消費者が減ってくれば、誰にも意見広告を出す方法もなくなります。
日本が抱えている成熟はこれからの10年、すべての産業で苦しい状態を迎えます。
作っても売れない、買ってくれていた額が減り、去年のマーケットが毎年縮小してゆきます。
本当に自社が生き残るために、自らを変身させてゆかねばならない時代になります。
今日は忙しいけれど、ある日はすることがなくなる朝が訪れるのです。
●歳末は戦場
物流の稼ぎ時は年に数回、年度末、歳末が大きな山です。その他でも多少は波動があるよう
ですが、年に数回家に帰れないほど忙しい時があっても不思議ではない。
どんな業界でも、どんな職業でも土日が休みで、9時5時の勤務なんていうのがあるのは珍しい。
第3次産業がGNPの半分以上を占めるようになり、土曜のドンとか週休二日とか、教科書で書
かれていた日本の工業時代からはずいぶんと時間がたってしまいました。
今、6300万人のサラリーマンは工場ではなく、店舗や深夜のサービス産業に従事しているのです。
日本人というお客が変わってきたから、工場が店舗になり、医療や教育のビルが立っているのです。
百貨店のお歳暮が忙しいといったって、20年昔に比べれば半減している。全体で見ればです。
新年を迎えるためにあれこれ買い物をしたり、ボーナスが出るころに人出も増えるのは通年行事。
交通量が増えれば事故も確率だから、増えるでしょう。クリスマスは世界の商戦、何も日本のウチの
職場ではないのです。
大切なことは去年の経験を活かすこと、同じ失敗を繰り返さないようにして、無駄な時間とため息を
やめることです。そうして、いつか必ず訪れる静かな朝に備えなくてはなりません。
●物流業はリスクばかりのつらい職業なのか
意見広告や皆さんから良く聞くつらい話が本当にそうなのか、と毎年感じています。
コストダウンに苦労していて、そして苦労が報われない、本当にそうか。
メリヤス、旋盤加工、鋳造鍛造、・・・・30年間でなくなってしまった業界があります。最後の砦を
守っている企業もありますが、製造流通業は作るもの、売るもの、買っていただけるお客を取り替
えることができません。自己変身するにも限界があるのです。
サービス業はどうか。英会話教室は転用できないか。医療は患者がいなくなるのか。
飲食は人口密度だけが競争条件なのか、・・・・・・。自己を代えることにより、顧客を変えることに
よって再生可能な産業がサービス業で、物流は装置産業から変身を遂げたはずなのです。
●来年の仕事を考えて見ましょう。
今扱っている商材の未来はどうか、今の荷主の来年の雲行きはどうか、今の自社に欠けている
物流機能は何か、同業でも景気の良いところは何をしているか、ウチの強みは何か。
そんなことを考えながら、来年の歳末を想像してみましょう。決して同じ状況を描くことはできない
はずです。
だって、新聞広告にありました。「もう耐えられない」と。この記事へのコメント
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筆者紹介
花房 陵
イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント
コンサル経験22年、物流から見た営業や生産、経営までをテーマに 28業種200社以上を経験。業種特有の物流技術を応用して、物流 の進化を進めたい。情報化と国際、生産や営業を越えたハイブリッド 物流がこれからのテーマ。ITと物流が一体となる日まで続けます。 -
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