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ブログ・花房 陵
営業提案、その前に魅せる現場を作れるか
2007年11月5日
●営業提案の進め方
物流は固定荷主と共に成長を遂げるものですが、中には解約して去ってゆくお客さんも
いますよね。
5年も経つとずいぶんお客さんが入れ替わるのが、サービス販売業の宿命です。
そこで新規開拓の必要性と3PLという営業コンセプトが登場したものですから、常に外販
営業、新規開拓の号令が下ってきます。
しかし、物流事業者にとって倉庫でも運輸でも総合物流でも、実際のところ新規の開拓を
行うといっても、電話セールスができるわけもなく、そもそもどこへ訪問したらよいのかに苦
心することが多いのではないでしょうか。
誰かの紹介、というカタチで当社を訪れるお客様がいる以上、最初の商談は現場を見ても
らうことになります。整理整頓ができているか、お客様をお迎えするような環境が整ってい
るか、いらしたら何を見てもらい、どんなアピールをするのか。結構心配の種があるものです。
物流営業は提案活動だ、という風潮が多いけれども、どこかの現場を見せたらそれでOK
という商談も多くあるのです。
いわば、お客さんが物流会社を回るのは勉強のため、研究のためとは良いながら、現在の
取引先に不満や満足していない状況があるからです。
提案活動は自社の現場を見せることから始まる、というのが大前提でしょう。
●何を魅せるか、どうアピールするか
今より安くやらせていただく、という営業トークは禁物です。
現在のところ、物流コストの単価は全くもってオープンプライスで原価はどこも同じ、お客様も
倉庫賃料や地代、燃料代、作業者の時間給などすでに情報を掌握しています。
大体のコスト感覚や実態を「見れば分かる」程度に把握しています。そんなお客様を現場に
案内することは、実はずいぶんとリスキーなチャレンジなんでしょう。
ですから、商談の一環としての現場見学へのご案内は、自社のセールスポイントをハッキリと
お見せすることが重要です。
人数や規模、出荷物量や商材を見れば、ざっくりと運営コストがわかる、というのが現在のお
客様レベルと考えても間違えはない。場合によっては、見聞の情報をコンサルに相談して
詳細なコスト把握をしているかも知れません。
そこで、魅せるポイントはコストや品質という絶対基準ではなく、明るさ、元気さ、きびきび感、
情報機器や運営しているユニークなサービスなど、他社との違いをアピールできる範囲に限
るのが無難です。
そのために、このブログでも紹介してきた12の観点やチェックの方法が有効なのです。
●見せたら質問攻めにしよう
ご案内のしたときには、心理的な弱みを持っているはずですから、すかさず質問攻めをするのです。
立ち話だと心理バリアも低くなっていますので、かなりの精度で質問回答が貰えますからチャンスです。
応接間や会議室では聞けない話し、見学の最中にお願いするのです。
さてその時のヒント!
お客様は物流の何を求めているのか、という本当の理由を探るのです。
倉庫が欲しいのでしょうか、トラックが欲しいのでしょうか、安い作業料金が欲しいのでしょうか。
表面的はそうでしょう、既存の事業者に様々な不満や満足していない理由があるんでしょう。
でも、本当は物流という手段が欲しいのであって、物流はソリューションなのです。
売り上げを増やしたい、高速の物流を行いたい、もっと精度の高い物流をしたい、・・・・・・
物流の目的が何かをお客様から直に聞けるのが、現場のご案内なのです。
●ソリューションとしての物流を考える
提案活動はお客の問題解決でなければなりません。
比較して安いとか便利とか、物流機能の比較ではなくて、お客の問題を探って解決して差し
上げるのが、本当の提案活動です。
『そんなことまで考えてくれたんですか!』とお客にびっくりさせるのが提案活動の骨頂です。
感動とか感激とか、そして感謝されるまで、考え尽くした提案書を欲しがっているのがお客様
なんですよ。
方法は物流かも知れませんが、お客が解決したい悩み、願い、昔から悩んでいたことを聞き
出すのは、限られたチャンスしかありません。
正面から聞いても応接間でも会議室でも、本音や真意を話してくれることはありません。
立ち話が一番、しかもきれいに整った自社のショールームのような現場なのです。この記事へのコメント
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筆者紹介
花房 陵
イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント
コンサル経験22年、物流から見た営業や生産、経営までをテーマに 28業種200社以上を経験。業種特有の物流技術を応用して、物流 の進化を進めたい。情報化と国際、生産や営業を越えたハイブリッド 物流がこれからのテーマ。ITと物流が一体となる日まで続けます。 -
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