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ブログ・花房 陵
第2回:『こんな成長は望まない』
2007年3月22日
物流不動産ファンド事業を展開するイーソーコ社河田社長の談話によれば、「高度な物流施設に対する投資効果は、利回りが高いのですよ」なんとも不思議なお話です。
つまり、世界中にあぶれている現金は、少しでも有利な投資先(本当は、儲け口なんですね)を求めて情報戦が躍起だというのです。
物流施設も保管寄託契約を行う倉庫業者ではなく、施設の賃貸借契約で運用する不動産会社であれば、物件の投資総額と年間の賃貸借収入を見た場合に、極めて有利な投資リターンが計算できるというのです。もちろん、賃貸借契約に応じる荷主にも、料金にメリットが無ければなりません。
前回ご紹介したように、物流コストは、輸送・保管・荷役に代表されますが、輸送費の占める割合は6割を超えるので、輸送コストに効果のある立地や性能の良い物流施設であれば、保管費の多少は輸送費の削減効果で相殺されて余りがあるというわけです。
日本の異様な低金利政策(定期預金でも0.1%程度なんですね)が生み出した、お金の行き場がファンド会社であったり、新築の大型物流施設資金になったりしているということなのでしょう。
日本の金融事情を見てみれば、まもなく行われるペイオフ(1千万以上の預金保護廃止)は、個人預貯金を分散させ、新しい投資先を求めてお金が走り回ることになります。
不動産投資物件の賃貸料などの実質収入と金融機関の金利の差額を、イールドギャップと呼びますが、限りなくゼロの金利は実質収入を求めて預貯金の流動化を促しているのです。
物流業界は、厳しいコストダウンの嵐に吹かれ続けているのに、世間では新たな収益源が物流にあるなんて、思っても見なかった気づかない動きがあるのですね。3PLやICタグといった物流技術と、ファンドや投資評価などの金融の知識もこれからは融合されるのです。
次回は、物流コストと物流施設の謎に触れてみましょう。この記事へのコメント
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筆者紹介
花房 陵
イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント
コンサル経験22年、物流から見た営業や生産、経営までをテーマに 28業種200社以上を経験。業種特有の物流技術を応用して、物流 の進化を進めたい。情報化と国際、生産や営業を越えたハイブリッド 物流がこれからのテーマ。ITと物流が一体となる日まで続けます。 -
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