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ブログ・高橋 久美子
第164回:「働かない方が得じゃん」
2013年4月30日
私はエネルギッシュなアジアが大好きです。インドや中国では、エレベーターの前で待っていても、平気で順番抜かしをされます。みんな声が大きくて、態度も大きい。一方、最近の日本は元気がなさすぎる気がしています。アジアのエネルギッシュな様子を、品がないとかガツガツしていると表現する人も少なくありません。しかし…
実は数か月前、私の地元である岩手を訪れたときに、友人からこんな話を聞きました。その友人は小さな製造工場を経営しています。被災地とは言え、幸いにも被害が少なく工場を稼働することができていました。ある日、その工場に市長さんが来て、こう言ったそうです。「仮設住宅に入っている人たちを、どうか雇用してくれないだろうか」。友人の会社は決して経営に余裕があったわけではなかったのですが、地域に貢献できればと、面接をすることにしました。20代から40代の男性を面接し、20人の採用を決定しました。
経営者のあなたなら想像がつくと思いますが、20人の採用ですから、覚悟がいったと思います。各人に、2週間後から働きに来て下さい、と連絡をしました。そして、いよいよ20人の初出社の日…いくら待っても、ただの一人も会社に姿を現さなかったそうです。
後日、その原因がわかりました。2週間のうちに「被災者への失業給付金」の延長が決まり、仮設住宅の住人には、ある程度の額が支給されることになったのです。つまり、「お金が出るなら、働かない方が得じゃん」という結論になったということです。しかも、「定職に就くと、仮設から追い出される可能性があるらしい」という噂も。仕事をしない方が良いという気持ちに拍車をかけたようです。
この話を聞いたとき、私はガックリしてしまいました。同郷の人間として恥ずかしいような情けないような気がして、なんだか力が抜けてしまいました。「これじゃあ、エレベーターだけじゃなく、そのうち全てが元気なアジアの国々に順番抜かしされちゃうな」と、しみじみ思いました。この記事へのコメント
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筆者紹介
高橋 久美子
あなたの会社が儲かっていない本当の理由
規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。
全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会 -
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