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ブログ・高橋 久美子
第211回:時代が求める「運送会社像」
2014年3月24日
時代が変われば、「求められる運送会社像」も変わります。日本経済が飛躍的に成長を遂げた高度成長期後期には、輸送量が一気に増加しました。輸送量に対してトラックを所有している会社が圧倒的に足りなかった時代です。トラックを所有している会社を見つけることも困難で、とにかく「トラックを持っていること」が、運送会社の成功の条件でした。
次に、日本経済は安定成長期を迎えます。オイルショック(第1次石油危機)で原油価格が高騰したことで大打撃を受け、74年には戦後初めて経済成長率がマイナスとなります。これにより50年代半ばからの高度経済成長期は幕を閉じ、バブル崩壊まで経済成長率5%前後の安定成長期時代に入ります。
高度成長期時代ほどではありませんが、日本経済全体が右肩上がりに成長した時代で、多くの荷主企業の業績も右肩上がりに成長していきました。荷主企業の成長とともに、「倉庫も必要だ」「こんな便にも対応してくれ」といった具合に、「荷主の要望に応える会社」が重宝されました。もちろん、荷主企業の成長とともに運送会社の業績が成長した時代でもあります。
そして、ゼロ成長時代に突入します。ここで輸送量は一気に激減します。本来、輸送量とともにトラック台数も減っていくはずでしたが、登録台数は増加の一途をたどります。これはあなたもご存知のとおり、物流二法に起因しますが、その是非を論じるのは、別の機会にします。輸送量が減ったのに、トラックが増える。そのため、「価格競争・差別化競争」が激化しました。
この時代には「他社と差別化できた運送会社」「価格競争に勝てる運送会社」が荷主に求められました。しかし、差別化といっても今どき、どの運送会社でも、ある程度の輸送品質と人材レベルをクリアしています。価格や差別化競争も、もう限界を迎えました。
そして現在、アベノミクスでは経済成長率を上げていこうとしていますが、まだ効果は見えていません。それでは、「これからの時代」は、どんな運送会社が求められるのでしょうか。この記事へのコメント
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筆者紹介
高橋 久美子
あなたの会社が儲かっていない本当の理由
規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。
全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会 -
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