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ブログ・高橋 久美子
第432回:2020年生き残る運送会社VS淘汰される運送会社
2020年2月3日
新年明けましておめでとうございます。
「今年のトラック業界は、どうなるでしょうね」。ひょっとしたら、新年の会合で、あなたに、そんな質問をしてくる人がいるかもしれません。
実は、この会話で、相手の抽象度の低さがわかってしまいます。どういうことかというと、この人の頭の中には「トラック」のことしかないということです。
確かに、元々はトラック運送事業として創業したかもしれません。しかし、あらゆる商品・サービスのライフサイクルが短くなった現代では、一つのビジネスで、同じ形で長期的に利益を出し続けることが難しくなりました。
特に、トラック20台以下の運送会社は、身軽さを武器に、時代の変化に対応することが可能です。実際に、利益を出し続けている運送会社は、トラック運送事業を支えるために複数の収入源を構築しています。
2020年以降、生き残る運送会社はどんな会社かというと、「自分で考え動ける会社」です。
逆に、淘汰されていく運送会社はどんな運送会社かというと、ズバリ、「自分で考えない会社」です。
どういうことか、少し解説しますね。
例えば、前回の標準貨物自動車運送約款などの改正、作業料を設定して荷主に伝えるのは、めんどうな作業だったと思います。でも、どうやって伝えようかと自分で考え、実際にすぐに動いた人たちは、意外にスムーズに荷主企業に申し入れを受け入れてもらうことができています。東京都トラック協会の運賃交渉のアンケート結果でも、値上げができたところもあれば、値上げにはならなかったところもありました。しかし、「逆に値下げになった」という人は1件もありませんでした。
ところが「荷主に伝える」というめんどうなことを、後回しにし続けている会社も一定数存在します。
「うちの荷主には、言ったって聞き入れてもらえないよ」「早く国が運賃の告示をしてくれればいいのに」と、「国待ち」の状態です。
自分で考えることを放棄して、国待ちでいる人たちは、皮肉なことに実際に告示され、「一律」になった時こそ、独自の強みが必要になる、本当の意味での競争が必要になることが想像できていないのです。
少し乱暴な言い方になりますが、高度成長期の時代には、ビジネスを考えていない「職人」でも、会社を経営することができました。しかし、全てのクオリティが高くなり、競争が激化した今の時代は、運送会社も、飲食店やその他の業種でも、「職人」ではなく「経営者」が経営をしなければ、会社を存続させることができなくなりました。
「どうやったら会社を存続し続けることができるか?」︱︱。今年はぜひ、抽象度の高い思考で考えて飛躍していきたいですね。
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筆者紹介
高橋 久美子
あなたの会社が儲かっていない本当の理由
規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。
全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会 -
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