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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(283)人材育成について(5)事例(2)

    2020年3月16日

     
     
     

     働くことの意味をじっくりと考えることは、人材育成の基本である。企業が提供できるのが、給与や休日といったことになると、際限のない給与不満がのこり、いつまでたっても前向きの人材は育たない。したがって働く喜び、使命感を提供するのが前提になくてはならない。

     

     A社の勉強会の狙いはそこにある。毎回続けていくには工夫がいる。ときには、人生について書かれてある本を読んだりする。読書会である。音読しながら進めていくが、字を知らない。つまりつまり読んでいきながら1冊読み通す。この努力が大事なのだ。この1年間で4冊読破した。そして職場では、あいさつの徹底である。くりかえし、くりかえし教育している。こうした働く姿勢づくりが、一人ひとりのやる気に結びついていく。

     教育の基本は、強制ではなく自発性にある。自らすすんで学ぶ姿勢づくりである。そのために人生について語り、人間について思いをはせて、働く意味を問い直すといった勉強は有効であった。

     ・環境づくりの大切さ

     冬にハダカで歩いたり、夏にオーバーを着たりする人はいない。人材育成にとっても、人が育つ環境づくりは大切だ。この環境づくりは様々な方法がある。原則としては、仕事を任せ、責任をもたせ、その成果をたっぷりと本人に帰属せしめる制度づくり、いわば組織活性化への取り組みである。やらざるを得ないような仕組みづくりとでもいえる。

     B社は人員70人の運輸業である。本社は大阪で、大阪と東京間の運行を主力として行っている。荷主の大阪工場から東京の配送センター間の運行である。通常運輸業の運賃は、いくときは100%でも帰りは60〜70%にダウンする。この場合、東京→大阪が帰り便としてダウンする。そのためB社では東京に営業所をかまえて、帰り便運賃の是正に取り組んだ。すなわち営業努力によって帰り便価格ではなく、通常価格として収受すべく工夫した。

     責任者のB君は、はじめははりきって赴任したが、2年もするとマンネリに陥った。酒が好きで、接待と称して飲み歩くようになってしまった。経費が増大するのでB社の社長は「どうしたものか」と思案していた。

     そこで私はアドバイスした。やらざるを得ない環境づくりとして分社である。東京営業所を本社から切り離して別会社化し、そのトップにB君を据えて、すべて任したらどうかと進言した。B社の社長は、決断した。「どうせこのままいっても赤字だ。この際、好きにやらせてみよう」早速B君に通告し、別会社化とし、資本金も100%B君に持たせた。いわば、これからのつながりは心だけで、信頼のキズナとなる。(つづく)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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