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    経営再生物語(314)人材育成について(15)A社の事例(3)

    2020年11月23日

     
     
     

     企業の成長期は、通常は創業者というトップが全ての中心で、役割分担、権限委譲という組織化は、一定の規模もしくは後継体制づくりの際、必要となってくる。A社のケースもそうである。先代の人間性で集団をまとめていた時代から、2代目の時代に入った。組織化の時代である。

     B氏、C氏の申し出を、2代目社長は受け入れた。残った3人で幹部体制を構築していくこととした。残った3人の古参幹部は、役割分担に基づいて、それぞれの部門の長として全力を尽くした。今までの意識を変えた。評価基準に基づいて、信賞必罰というメリハリをつける新体制が刺激となって、いい方向へ作用したわけである。

     A社長曰く、「やはりマンネリを打破するのは大切ですね。私どもの会社は印刷会社ですので体質が受け身です。知らず知らずのうちに、革新性が薄れてきていました。今回の組織改革は成功でした。評価制度の確立が大きく寄与しました。3人の幹部には特別賞与を出しました。もちろん、全社員にも配分しましたが、それ以上に報いたということです」

     人材育成は、本人の資質もさることながら、人が育つ環境づくりが大切である。冬のオーバーを着ている人に、オーバーを脱がせようとして冷たい風をビュービューと吹きつけても、かえってオーバーにしがみつかせるだけである。暖かい太陽がポカポカと照りつけると、自然に脱ぐことになる。その気になるのである。

     その気にさせるには、環境の力が大きい。ぬるま湯の如き、なあなあ主義の職場風土で、本物の幹部が育つだろうか。冷たい風の如く「もっとやれ、もっとやれ」と言って、やる気になるであろうか。

     基本は、組織図を明確にし、役割分担をきっちりして権限を委譲し、評価制度を確立して信賞必罰でいくことである。それがオーバーを脱がせた太陽のことである。

             (つづく)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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