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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(325)人材育成について(20)

    2021年3月8日

     
     
     

     リーダーの教育的役割は、ヒントを与える、方向づけをすることにある。家庭教育にあっても、母親の何気ない一言で子供に無力感を植え付けている場合がある。子供の失敗、例えば忘れ物をすることについて過度に一般化して、子供の能力不足にする。能力不足ということになると、自分も頑張れば何とかなるとの効力感が育ちにくい。「○○ちゃんはクズね」「何やっても遅いのね」「お姉ちゃんはあんなに良く出来たのにあなたはどうしてダメなんでしょう」。子供にとって努力すれば出来るのだとの感覚が、この母親の不適切な否定的な表現によってしぼんでしまう。

     

     無力感を獲得させないことが大事だ。その為には自分の働きかけによって、環境の中に好ましい変化が生じた成功体験を持つことである。この成功体験はリーダーの助言、共感する力が大きく影響する。

     企業の現場においても無力感を植え付けているケースがある。部下の働きかけに対して応答のない上司。部下「課長、こうすればもっと仕事がやりやすくなります。是非検討して下さい。」。上司「いらんことは考えるな。そういうことは上司たる私が考える。君は黙って働いとけばいいんだ」。部下「先日、提案した件はどうなりましたか」。上司「検討中だ」…。このような応答性では無力感が生まれてくる。部下「どうしても営業の新規開拓が出来ません」。この訴えに対して、丁寧すぎていつも同行して手取り足取り教えすぎていては部下は育たない。上司への依存心が生まれてしまう。上司としては新規開拓のやり方についてヒントを与えるという姿勢、助言者でなくてはならないし、部下が一件でも新規開拓に成功したら「良かったね。君ならやれば出来ると信じていたよ」と共感することで、部下の目標に対する粘り強さと自発性を育むことだ。

     上司の何気ない一言で、部下のやる気をそいでいるケースもある。叱り方について過度に一般化して能力不足と決めつけると、部下は努力しようとする気持ちを持たない。上司「君は入社してもう5年にもなるのに商品知識がない。○○さんというお得意先から商品クレームがきたよ。君は何度言ったら分かるんだ。クズでアホとしか思えないよ」。こうした叱り方は効力感を育てない。劣等感を植え付けるのには役立つ。これでは粘り強さ、自発性は生まれない。

            (つづく)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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