-
ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(345)小集団活動のすすめ方(6)―1
2021年8月9日
小集団活動を活性化させ、より有効にしていくには、リーダーとグループメンバーに、心のつながり、信頼感が必要である。中小企業の経営実態は、存在のあり方そのものが、小集団活動である。したがってリーダーは社長であり、グループメンバーは社員である。今回は、心のつながりについてがテーマである。
A社の本当の遺産とは何か。
創業40年、社員数100人、年商40億円の繊維商社(A社)について本当の資産は何か考えてみたい。
A社は3年前にオーナーであった社長が急死し、長男の息子が二代目を継いだ。二代目社長は38歳の若さで、やる気満々で積極策をとった。積極策とは、経営の拡大を旗印として、次々と人員を増やし、社内の組織人事を改革し、大幅に仕入れ商品を拡大、販路を開拓していった。
私は縁あってA社の営業幹部研修を月に一回、6か月間行うこととなり、A社と知り合った。A社の営業幹部は、新社長の次々と打ち出す経営拡大策に内心戸惑いながらも、よくついていっているように見えた。
二代目の経営方針を何とか理解しようとして、連日の夜遅くまで営業会議を行い、行動計画を練り上げていたからだ。
やがて、研修をすすめていくにしたがって、私はA社の経営内容について把握できるようになった。火の車であった。売り上げは拡大しても、それ以上に在庫がふくらみ、資金繰りは自転車操業であった。
二代目になってから、拡大策を取ったため、大幅に借入金が増えていた。借り入れができるのは先代の残した土地があったからだ。いわば、先代の資産である。
しかし、本当の資産は別にある。資金繰りの悪化は在庫急増だけの原因ではなく、もっと別の主因がある。土地投資である。
二代目は、若さゆえか、度胸たっぷりで土地で儲ける。いわば、不動産ビジネスを展開していった。
私の目には、本業そっちのけでのめりこんでいるように見えた。土地狂乱期のことである。二代目は1年間に何回もハワイやニューヨーク、オーストラリアなどの海外旅行を繰り返し、派手そのものであった。 (つづく)
-
-
-
-
筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
「ブログ・川﨑 依邦」の 月別記事一覧
-
「ブログ・川﨑 依邦」の新着記事
-
物流メルマガ