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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(360)リーダーシップについて(3)―1

    2021年12月13日

     
     
     

    リーダーシップについて考えようとすると、コミュニケーションのあり方の重要性が浮かんでくる。今回は、コミュニケーションの大切さについて考えてみる。

     

    A社は大企業の子会社で、その大企業の工場で製品の包装、荷役に従事している。その作業部門の人員は15人である。作業長は、親会社の出身である。この作業長が、私に相談をもちかけられた。

    「どうも作業部門の人間関係が良くないのです。組織実態を調査・分析してください」

    作業長の説明によると、15人中7人が退職を申し出ているという。退職理由は、給与の低さであるという。しかも退職予定者の一人は職場の主任で、この人が若い従業員をあおって一緒にやめるようにもっていっているとのことである。労働組合はない。

    私は、個人インタビューをはじめた。15人全員のヒヤリングは、一人60分。じっくりと耳を傾けた。主な内容を紹介する。

    主任(36歳、勤続10年)「給与が低いです。外の冷たい風にさらされてフォークリフトに乗って仕事をしています。仕事のしんどさと給与のバランスがとれていないんです。このことについて何回も作業長にいっても答えが返ってきません。作業長は仕事の内容を知らないし、私がいつも尻拭いしているのです。職場の人間関係はそんなに悪くないです。仕事は助け合って行っています」

    作業員A(55歳、勤続10年)「チームワークが悪いです。主任と作業長がしっくりしていないです。本当は、主任が昇格して作業長になっても不思議ではないのですが、親会社からきましたからね。この作業長がきて6か月です。以前の作業長も親会社の人でした。この作業長になっていっぺんに給与の不満がでて、やめる、やめるといい出す人が増えたんです」

    作業員B(23歳、勤続1年)「私は、親会社の人の紹介で入社しました。初めは元気に頑張っていましたが、入社して9か月目に、給与の不満を新任の作業長に言いました。それから7回も話し合いましたが、スッキリした答えが返ってきません。親会社の人よりしんどい仕事をしているのに何故給与が低いのですか」

    作業員C(50歳、勤続22年)「私が、入社した時の給与は〇〇円でした。職場で給与明細を広げて見せ合っていますが、今の若い人は恵まれています。私こそ給与を上げてください。高校3年生と中学2年生の子どもを抱えて苦しいです」

    作業員D(58歳、勤続7年)「作業長と主任のチームワークがないですね。私は年ですし、いまさらやめる訳にもいきませんし、でも本当いえば給与が安いです。手取りで〇〇万ぐらいです」

    作業員E(30歳、勤続10年)「自分の父親が親会社で働いていたので、その紹介で入社しました。独身です。この給料では結婚もできません。仕事が終わって酒を呑むのが今の楽しみです」

    作業員F(19歳、勤続1年)「父親が、親会社に勤めていたので、その関係で入社しました。作業長の仕事の段取りが悪いのです。日曜日にも忙しい時は出勤しますが、その割には給料が低いです。今は若いから我慢できますが、これから先が心配です」

    どの人も、切々と給与の低さを訴えてくる。現場の人であるから、手もヒビ割れ、ゴツゴツしていて仕事のハードさを感じさせた。 (つづく)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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