-
ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(362)リーダーシップについて(3)―3
2021年12月27日
いろいろと不満を言っているうちが花である。何も言わなくなったら、それこそ深刻である。職場の声が湧き出るというのは、別の見方をすれば、新任の作業長に期待しているのだ。そして今から職場を良くしようとする熱意を持つことだ。この熱意を働く一人ひとりに感じさせていくことだ。
この点で作業長は、マネジメントの姿勢を改善していくべきだ。作業長は何とかしようとの想いはあるが、一人ひとりに愛情をもって、必ず良くなるよとコミュニケーションしているとは言えない。
それも無理もない。辞令一つで、ポッときたわけであるから職場への愛着はない。しかし、名お代官と、悪お代官の差はどこにあるか。それは百姓に対する思いやりを持って公平を貫き、私腹を肥さずに政治をしているかどうかである。したがって、作業長は名お代官を目指していくべきである。
それには経営情報の公開をわかりやすく説明していくべきだ。給与が低いといっているが、本当にそうか。同業他社と比較し、給与規定についてよく説明し、テーブルにのせ、一緒になって改正していこうとする姿勢が名お代官の第一歩である。
親会社との給料をはじめとする格差も隠すことはない。この格差をじっと見つめていると、かえって力が湧いてくる。格差の認識は、リーダーの志によって希望ともなれば絶望ともなる。見ザル、言わザル、聞かザルといった情報の非公開よりは、経営の活性化にとっては、公開が原則である。
「所詮、子会社だから格差があって当然や。しんぼうしかないよ」と諦めてはリーダーの資格はない。格差があるからこそ、何クソという勇気が湧いてくる。
そして、信念をもつことだ。信念とは、信じて念ずる。経営の方向性についてビジョンを明確にし、目標の達成を信じて、日々念ずることだ。この信念なくしてコミュニケーションは力を発揮しない。信念のないコミュニケーションは、空しさを拡大する。
作業長は、職場を良くしていこうとするにあたって目標を設定し、ビジョンをもって、それを一人ひとりが納得し、共感、共有すべく働きかけていかねばならない。それが、A社の作業現場の問題解決、経営活性化のポイントである。
「生まれつきの臆病にもつける薬はある」との言葉がある。それは最悪の事態にそなえて「心配の免疫」をつくっておくことだ。いざとなっても、命までとられることはない、やるだけやってアカンかったらそれまでよとの心の開き直り。「心配の免疫」をつくっていけばいいのだ。
そうすれば、心を開いて裸になって共通の目標に向かってどうすればいいか、真のコミュニケーションが成立する。本音の話せる職場風土は、いい職場であり、その積み重ねが企業の成長のエネルギーである。
関連記事
-
-
-
-
筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
「ブログ・川﨑 依邦」の 月別記事一覧
-
「ブログ・川﨑 依邦」の新着記事
-
物流メルマガ