-
ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(366)リーダーシップについて(5)―1
2022年2月21日
リーダーシップとは、人間の集団的努力を喚起して、集団の目的を効果的に達成していくためにリーダーが集団成員に対して行使する対人的な影響力である。
集団メンバーを導いていくには、影響力がなくてはならないし、その中核は人間性の豊かさである。この点について私の経験を今回は述べる。
私は経営コンサルタントとして独立する以前、A会計事務所に勤務していた。
このA会計事務所は、200人のスタッフを抱える大きな集団である。私は約5年間在籍したが、20人ぐらいからすさまじいペースで年々メンバーが増えていって、ついには200人を超えたわけである。
この成長要因はどこにあったのか。色んな切り口があるが、リーダーシップのあり方に絞って考えてみる。会計事務所の一般的パターンは、所長と数人のメンバーというところでトップは有資格者(税理士、公認会計士)ではなくてはならない。
A会計事務所の所長は、実に運のいい人である。多くの会計事務所がせいぜい10人ぐらいで、年商1億の壁は突破できずにいるのに、楽々と年商10億のスケールへと成長しているのは、業界の奇跡みたいなものである。これは運であると思うほかない。
そもそも、会計業務というのは人材なくしては成り立たない。A所長とほかの会計事務所の所長との差は何か。税理士という点では一緒である。知識の差もあまりない。10人以上のスタッフをかかえる所長は、通常実務はスタッフまかせである。したがって人材の差である。
いいスタッフをもっているというのが、運である。会計事務所の優秀なスタッフは、資格を取得して10年ぐらい勤務して独立するのが普通である。したがって200人を超えるスタッフというのは、奇跡である。
私が入社したその日、所長がいった言葉は忘れ難い。「付加価値をあげてくれよ。付加価値さえあげてくれれば、給料はアップしつづけるよ」
私はその時、付加価値という言葉の意味が理解できなかった。ポカンとしていた。後に判明したが、要するに会計事務以外にコンサルティング部門で生産性を発揮せよということである。本来の税務会計にプラスして、それに付加価値をつけろということである。
この言葉でわかるように、所長は経営者としては通常の願いを言ったわけで、特に優れている感じはなかった。にもかかわらず成長しえた要因は、実務的なリーダーA氏が存在していたからだ。 (つづく)
関連記事
-
-
-
-
筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
「ブログ・川﨑 依邦」の 月別記事一覧
-
「ブログ・川﨑 依邦」の新着記事
-
物流メルマガ