-
ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(370)リーダーシップについて(6)―2
2022年3月21日
こんなことがあった。それは給料の締日変更のことである。社長は、今までの20日〆30日支給を15日〆30日支給に変更すると発表した。理由としては、20日に締めて30日に支給しようとすると、給与計算スケジュールに余裕がなくきつい。
給与計算データをギリギリに持ち込んでくる部署もあり、そのためのロスが大きい。従って15日〆にすると余裕が出てくる。締切日変更の月の給料は、25日/30日となるが了解してほしい。以上の理由である。
この締切日変更の件は、社員・幹部のほとんどは、内心不満である。私が参画している職場ミーティングで、口々に不満を訴える。
「自分たちの給料は月給制なのに、なぜ25日/30日なのか。5日分減収になるではないか。給与計算データの持ち込みの遅い部署は早くするように努力すべきでないか」
なぜ、ストレートにその不満を社長に伝えないのかと問えば、「社長が怖い」とのことである。そこで私は、社長に手紙をかいた。
〜前略 私が参画しています職場ミーティングにおいて、締切日変更について次のような印象、感想をもちました。私はこの問題で会社に不信をもち、人心に動揺をきたし、人の定着にまずいことになってはいけないと心配しています。
職場ミーティングでの印象では、実感として「給料は減るのでイヤだ」と思っている感じで、そのことが社員の定着を揺るがす恐れを感じました。
社長は締切日の変更月は、働く日数が25日/30日なので、給与も25日/30日が当たり前ではないかと言われています。社員の受け止め方は頭で理解しても、どうしても一時的にせよ給料の減少には耐えがたく、しかも締切日の変更は会社が決定したことで、自分たちが望んだことではないので納得できないということではないかと思います。
私自身、労働問題にたずさわってきて、締切日の変更は労働条件の変更であるので、従来の労働条件より悪くなることであれば難しい面があると思っています。
今回の件は20日〆30日支給が15日〆30日支給ですので、今までの10日間が15日間になりますので、労働条件では5日間増えるので働く者にとって不利となります。したがって、充分なる納得が変更の前提となります。
しかも、月給というのは月によって決められた給与ですので、それを減額するというのは、検討の余地があります。よく考えてください。敬具〜
A社の問題は、〝ハダカの王様〟になっているところにある。働いている一人ひとりの人心掌握が不充分である。社長に面と向かって反対論を言えばクビがとぶと思っているので、不満であれば辞めるしかないところまで追い込んでいる。
(つづく)
関連記事
-
-
-
-
筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
「ブログ・川﨑 依邦」の 月別記事一覧
-
「ブログ・川﨑 依邦」の新着記事
-
物流メルマガ