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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(387)計画はなぜ必要か―1
2022年8月1日
あるトラック業者の5つのサービス
A社は人数10人の小企業のトラック業者である。4㌧の車をベースとして荷主も酒類販売、地元の農協、土建用ブロックと多種多様である。
A社ではこれからのトラック業として5つのサービスを方針として掲げて実践している。第一のサービスは、「ドライバー教育」。小さければ小さいなりの良さを絞り出して「家族的雰囲気」で実行している。
ドライバーとコーヒーを飲みながら、定期的ミーティングを経営者のリードで行なっている。
このミーティングで一人ひとりのドライバーの悩みを聞いて、どうすればいいか、真剣に考える。
また経営者の悩みも打ち明けて、力を貸してほしい、どうすればいいか、一人ひとりのアイディアを出して、経営改善に活用している。
こうしたミーティングの積み重ねで、経営者は一人ひとりのドライバーに愛情を持って接する姿勢を堅持している。
A社の労働はハードである。例えば米や小麦などの秋の収穫時期には、運搬用にベルトコンベアを使用する。ベルトコンベアから倉庫までは手作業である。米一俵60㌔㌘を何百も運搬することはとても辛い。
こうした厳しい労働の現実があるからこそ一人ひとりの「ドライバー教育」を大切にしている。
「ドライバー教育」のねらいは、①安全運転に優れていること②荷主に対して接客態度がいいこと③自分の愛車の様にトラックを愛し整備をすること④健康であること⑤商品知識があること——である。
ドライバーは一人ひとりが異なる場所で働いており、教育時間の確保は簡単ではない。だからこそミーティングを活用して、いわば「企業内教育」を実践している。
第二のサービスは、「物流サービス」。「親切で適切な積み卸し作業を!」のスローガンを事務所に掲示している。
物流サービスの充実に一人ひとりが知恵を絞っている。秋の繫忙期は猫の手も借りたいほど、朝早くから夜遅くまで作業が続く。
よりよい物流サービスのために朝6時から夜11時まで、配達依頼の電話連絡をテキパキと対応している。あるいは土木、建設用大型ブロックの運搬のため、荷主ニーズに対応できる設備道具を一式そろえている。
第三のサービスは、「通信ネットワークの活用」。A社ではスマートフォンを利用して各トラックに備え付けて会社と常に連絡を取り合って「即時運搬」につなげている。
第四のサービスは、「コンピューターの活用」。オフィスオートメーション化を積極的に採り入れて計数管理用ソフトを導入して経営改善に役立たせている。
売り上げや費用の数字をキッチリと掴んで、目標利益を立てて実績数字をチェックしている。
第五のサービスは、「荷主へのサービス」。荷主や現場の人たちの〝生の声〟を直接耳にし、大事にして「何を期待しているか」を把握してサービスの質を上げている。
(つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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