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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(395)現実を直視する―3
2022年10月13日
以上述べてきた点、⑴商品、⑵価格、⑶物流、⑷販売促進、⑸研究開発、⑹人的資源 の6ポイントでライバル店を念頭に現実をじっくり、確かに、深く把握していく。そして財務分析を行う。過去3年間の決算を分析していくことが基本である。
そして、経営者は働いている一人ひとりの気持ちを掴むことである。そのためには個人面談が有効であろう。会社に対して何を望んでいるか、何が不満なのか、やる気は十分発揮しているか、悩みは何かなど、膝を交えて話し合うことにより把握し、一人ひとりの現実を知らねばならない。
経営者のなかには、一人ひとりの社員と会うと、いろんな要求ばかりを聞かされたり、愚痴や収拾のつかない問題点を聞かされたりするので、「時間の無駄である」と思っている人もいよう。しかし、現実を深く知るには現場を把握し、そこで働いている一人ひとりの現状を知ることが必要ではなかろうか。
現実を深く把握する。その時絶望するか、返って希望を見出すか、これが企業成功の分岐点である。
絶望タイプは、「これではいくら努力してもダメだ。食べていけるだけで良い。〝時の流れに身をまかせる〟しかない」と納得する。
ここでビジョンの存在が輝く。ビジョンを明示していれば、どんなに現実が厳しくとも返って闘志が湧いてくる。希望タイプはこう思うだろう。
「なにくそ〝ボロは着てても心は錦〟。今に見ていろ、3年後の目標を実現するには現実を否定して、初心に帰ってやるぞ」。現実を直視してビジョンとのギャップに対して挑戦意欲を掻き立てていくこと、これが成長の原動力となる。
現実から目を背けるタイプであってはならない。会社での次々に生起する難題でストレスを抱えて過度の酒にのめり込んだり、仕事以外のギャンブルや遊びに度を越して会社を潰した経営者は多い。
やはり、現実の厳しさには目を見開いてまっしぐらに立ち向かっていく。精神のあり様としては嵐に向かって突き進んでいくぐらいの気迫が必要ではあるまいか。
その際、足元をしっかりしておく、禅の言葉で言えば、〝脚下照顧〟これが現実の直視である。脚下照顧とは足元を照らして顧みるという意味で、禅宗のお坊さんが暗闇を歩くとき足元を照らして灯りを頼りにして進んだ事例をもとにこの言葉が出来上がったと聞く。
中期の方向性は暗闇に閉ざされているかもしれない。正に一寸先は闇かもしれない。だからこそ現実をしっかり把握することが、未来を照らし、希望の火を見出すことにつながると言えるのである。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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