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ブログ・川﨑 依邦
労働審判・全面勝利体験報告(3)「労働審判申立書の作成」
2010年5月31日
A氏は賃金額を平均すると、39万2667円となり1時間当たりは1990円になると主張する。
「労働基準法施行規則第19条4号による計算方法の基礎となる事実、積算方法」
(1)申立人の割増賃金の基礎となる賃金は、基本給30万円,通信手当1000円、能率給5万円、合計35万1000円の期間が2か月間。基本給30万円、通信手当1000円、能率給10万円、合計40万1000円の期間が10か月間であるから、平均すると1か月当たり金39万2667円(50銭以上切り上げ)である。
(2)相手方における1年間の所定休日は日曜日54日、祝祭日5日、年末・年始休暇5日、夏季休暇5日の合計69日であるから、年間所定労働日数は296日となる。
(3)申立人の1日の所定労働時間は8時間であるから、年間所定労働時間は8時間×296日=2368時間となり、月平均所定労働時間は2368時間÷12か月=197・33時間となる。
(4)申立人の割増賃金の基礎となる1時間あたりの賃金額は、基礎賃金39万2667円を月平均所定労働時間197・33時間で除し、39万266円÷197・33時間=1990円(50銭以上切上げ)となる。こうした申立人の主張は、後述する答弁書において就業規則に基づいて反論している。ともあれ、順序として労働審判申立書→申立人の陳述書→P社の答弁書、P社社長とP社常務の陳述書と本稿は進んでいくことになる。
労働審判申立書の作成はプロでないと無理である。A氏は代理人を立てることなく本人が申し立ててきた。後日判明したところによると、司法書士に依頼していた。
労働審判は3回で結着を見ること、費用があまり掛からないことによって労働者には活用し易くなっている。会社を訴えて裁判をすると費用や時間が掛かる。精神的負担も大きい。スピード決着がはかれるので申立人にメリットがある。
一方、答弁書を作成する方は大変である。作成期間は約30日である。その間にしっかりした証拠を集めること。このことが中小企業にとっては途方に暮れる。答弁書の骨格を決めて早急に弁護士と相談することになる。
実際、筆者も作成期間の30日は年末年始をはさんでおり、プレッシャーが掛かったものである。寒い季節であったが、答弁書の骨格、内容を作成していてペンを持つ手が怒りのために震えていた。冷静になることが大切であると実感した。
(つづく) -
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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