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ブログ・川﨑 依邦
一人でも入れる労働組合がやってきた(30)人事評価は絶対反対
2012年1月27日
上部団体が出てきた。人事評価をテーマとする団体交渉の開始である。A社長は腹をくくって臨む。
冒頭から口撃が始まる。「労働時間が長いよ。これでは法令違反だ。どうするんだ」。いきなりである。「コンプライアンスに問題がある。運輸支局に告発する用意はできているぞ」。A社長はうろたえる。「今日は人事評価がテーマであり、この件について労働組合の見解を聞きたい」。うろたえつつも切り返す。一般的に言って、労働組合は団体交渉を自らのペースで進めようとして先制パンチを浴びせてくる。いきなりの先制パンチで会社側の勢いをくじけさせようとする。人事評価に対する労働組合の見解は、絶対反対である。
「配車に対する協力姿勢を評価するとはとんでもない。配車担当の能力に問題がある。そもそも配車担当者はえこひいきして、分会員に辛い仕事を回している。公平配車とは言えない。荷主からの信頼度を高めるのはドライバーの責任ではない。会社の責任である。会社がしっかりとドライバーを守らなければならない。『あんなドライバーをよこすな』と荷主から言われて、すごすごと引き下がる会社に問題がある。5Sへの取り組み度合いについても、会社は人事評価という処遇に結び付けてはならない。5Sそのものは反対ではない。人事評価することが問題である。燃費効率の向上は会社がドライバー教育することである。ドライバー教育をしっかりやっていないのに、いきなり人事評価とはとんでもない。アルコールチェックをきちんとすることは会社の責任である。ドライバーに責任を押し付けてはならない」
「とにかく絶対反対」である。A社長は問う。「それでは人事評価そのものがダメとなると、どのような処遇にしていけばいいのか。頑張っている者と、そうでない者との人事評価ができなくてどうすればいいのか」。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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