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  • ブログ・川﨑 依邦

    中小運送会社の経営改善の記録(5)立ち上がり期突破

    2012年7月27日

     
     
     

     平成19年11月から同20年の3月までは、急遽、経営を引き継ぎ、会社そのものが生きていけるかどうかの危機的状況であった。



     危機的状況を全社員に説明することで、労働組合の活動は事実上休止。主要荷主からは同20年2月末をもって、運送契約を解約する旨を通告されていた。しかも、今まで20年近くにわたって配車を担当していた従業員は同19年12月末で去っていた。

     筆者が送りこんだ常務の周りは、棘(とげ)ばかりである。経営を引き継いだとたん、3か月後にどうするかを決めなければならない。主要荷主から運送契約を解約されたら全面撤退という最悪、会社を解散するという方針を立てたわけである。結果は継続ということになったが、それまでの3か月は針のむしろである。いつどうなるかわからないので常務はビジネスホテルに泊まり、その後、1か月契約のアパートに移った。通勤は寒風吹きすさぶ冬、自転車で15分の道のりを走る。主要荷主の事務所にも30分かけて自転車で出向く。10キログラムのダイエットはわけもなく成功したわけである。主要荷主と継続ということになって、ようやくマンションを借りることになり、車通勤へと相成ったわけである。

     それにしても運送業の稼働時間は早い。常務は午前5時に宿泊場所を出発し、同6時から朝礼である。夕礼は午後7時から。こうして前途の全く見えない立ち上がり期を乗り越えていった。

     労働組合はなぜ、結成されたのか。きっかけは交通事故を繰り返すドライバーへの解雇である。このドライバーが労働組合結成へと道を開く。「解雇されたらたまらない。明日は我が身である」と、ほかのドライバーが同調し、一気に14人中10人の分会員の登場となる。労働組合は時間外手当の未払いを勝ち取り、有給休暇も取りやすくしていく。会社もおいそれと交通事故を繰り返すドライバーに対してクビを言い渡しにくくなる。労働組合結成の効果である。

     ところが、36協定締結の是非によって7人の組合員と3人の元組合員に分裂したわけである。直接のきっかけは交通事故の処理の問題による不手際である。しかし、真因は労使間のコミュニケーションの悪さにある。配車担当者に対する不信や会社、とりわけ社長に対しての反発がある。立ち上げの3か月間はコミュニケーションの悪さは最悪で、会社とドライバーもしっくりこない。ドライバー間も反目しあっているという状態である。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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