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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(11)銀行交渉が決着する
2013年6月14日
「経営改善計画」を持参して銀行交渉に赴く。銀行の対応パターンは、企業の担当者と上席(支店長)が出てくる。企業の担当者は、物分かりが悪いタイプが多い。
「金利ゼロにするといっても、少しでも返済できませんか」「社長の努力が足りませんよ。社長の報酬をもっと下げて下さい」など、なかなか二つ返事で「はい、わかりました」とはならない。銀行には貸し手責任がある。リレーションシップ・バンキングといって、銀行は取引先に親身になることが金融庁から要請されている。しかし、不思議と銀行の担当者には親身になって色々とアドバイスするタイプは少ない。自分の銀行には親身になっても、取引先の経営には親身にならない。中には金利はキチンと払っているのに、すぐさま保証協会の代位弁済を勧める担当者もいる。保証協会の代位弁済とは借入金の返済を保証協会にしてもらうことである。なぜ、銀行の担当者はこのような提案をするのか。一応耳ざわりのいいことは言ってくる。「保証協会の代位弁済をすれば、保証料はかかりませんよ」「保証協会には払えるだけ、たとえ1万円でも交渉して払えばいいのですよ。しかも保証協会への支払いは元金が減るのでいいですよ」。銀行の担当者はリレーションシップ・バンキングの使命など、どこ吹く風である。「もうこんな会社とは付き合っていられない。それよりも一刻もはやく債権(借入金)の回収をしてスッキリしたい。面倒はしたくない」。
そもそも金利はキチンと払っている。経営改善に必死になって取り組んでいる。にもかかわらず代位弁済をしつこく勧めてくる。つくづく銀行は所詮「金貸し」稼業であると実感させられる。ひと言でいって、ノリの悪い担当者には経営者は聞く耳をもってはならない。ひたすらお願いする。社長報酬の減額も生活のことを考えて許容できる範囲とする。経営者の必死の思いが伝わればリスケは必ずできる。
担当者と比べて上席(支店長)は物分かりがいいタイプが多い。銀行は組織である。組織として漫才のボケとツッコミの如く役割分担している。
A社の銀行交渉は「経営改善計画」の提出によって、金利のみの支払いということで決着する。いよいよA社の経営再生が本格スタートする。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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